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【Vol.11】縮小する国内基盤、深化する危機管理。(2026年2月7日号)

はじめに

こんにちは、医療政策ウォッチャー編集長の木内翔太です。
第11号のニュースレターをお届けします。

2026年2月第1週、医療・健康政策の世界は、「縮小」と「深化」という二つの潮流が交差する重要な局面を迎えています。
今週のニュースを俯瞰すると、「縮小する国内基盤」「深化する危機管理」 という、対照的な2つの動きが鮮明に浮かび上がります。

人口動態統計は出生数と婚姻数の減少を示し、医療施設動態調査は病院と歯科診療所の減少傾向を明らかにしました。医療費は増加する一方で、受診延日数は減少するという複雑な状況も浮き彫りになっています。こうした「縮小」の現実に対し、国内では地域・職域連携を軸とした予防政策の強化が進み、国際的にはWHOがCOVID-19から6年の節目にパンデミック対策の進展と脆弱性を示しました。

今週は、「人口構造の変容」「医療費の構造変化」「医療提供体制の再編」「予防政策の深化」「国際危機管理の強化」という5つの視点から、2026年の生存戦略を考える5つのニュースを厳選しました。

1つ目は、「厚生労働省による令和7年9月の人口動態統計月報」
出生数の減少、死亡数の変動、婚姻件数の減少という3つの指標から、日本の人口構造が直面する現実が示されました。

2つ目は、「令和7年度9月分の概算医療費動向」
医療費は4.8%増と高い伸びを示す一方、受診延日数は減少傾向にあり、一日当たり医療費の増加と国民の受診行動の変化が明らかになりました。

3つ目は、「令和7年11月末の医療施設動態概数」
病院数と病床数の減少、一般診療所の増加、歯科診療所の大幅減少という、医療提供体制の構造転換が進行しています。

4つ目は、「令和7年度地域・職域連携推進関係者会議」
健康日本21(第三次)における「誰一人取り残さない健康づくり」と、ロコモティブシンドロームを共通指標とした予防政策の実効性強化が打ち出されました。

5つ目は、「WHOによるCOVID-19から6年の評価」
パンデミック協定の採択、パンデミック基金の設立、AI活用サーベイランス、mRNA技術移転など、国際的な危機管理体制の進展と残された課題が示されました。

今週も、足元の経営から世界の潮流までを繋げて、サクッと解説します。

令和7年9月人口動態統計が示す日本の現実:出生数・婚姻数の減少と自然減の拡大が続く

動画はこちらから

導入

  • 厚生労働省は、令和7年9月分の人口動態統計月報(概数)を発表しました。

  • 出生数の減少、死亡数の変動、婚姻件数の減少という3つの指標から、日本の人口構造が直面する深刻な課題が浮き彫りになっています。

事実

  • 令和7年9月の出生数は57,407人で、前年同月の58,059人から652人減少し、1.1%の減少となりました。

  • 令和7年1月から9月までの累計出生数は496,112人で、前年同期の511,061人から14,949人減少し、2.9%の減少率を示しています。

  • 令和7年9月の死亡数は119,256人で、前年同月の124,773人から5,517人減少し、4.4%の減少となりました。

  • 9月単月の自然増減は▲61,849人でしたが、令和7年1月から9月までの累計自然増減は▲686,860人となり、前年同期の▲673,166人から13,694人減少幅が拡大し、7.7%の減少率を示しています。

  • 令和7年9月の婚姻件数は26,172組で、前年同月の27,723組から1,551組減少し、5.6%の減少となりました。

  • 累計婚姻件数は、令和7年1月から9月まで355,246組と、前年同期の354,682組から564組増加していますが、9月単月では顕著な減少が見られます。

3行要約

  • 出生数の継続的な減少が示す構造的課題

    • 令和7年9月の出生数は前年同月比1.1%減、累計では2.9%減と、減少傾向が継続しています。

    • この出生数減少は、将来的な労働力人口の縮小や社会保障制度の財源基盤に深刻な影響を及ぼします。

    • 少子化対策の実効性が改めて問われる局面であり、若年層のライフイベント支援や子育て環境の整備が急務です。

  • 自然減の拡大が加速する人口構造の変容

    • 9月単月では死亡数が減少したものの、累計での自然減は▲686,860人と、前年同期から減少幅が拡大しています。

    • 短期的な変動はあっても、長期的な人口減少トレンドが加速している現実が示されています。

    • 社会全体の活力を維持するため、医療・介護・福祉の提供体制を人口減少に適応させる政策が不可欠です。

  • 婚姻件数の減少が示す将来の出生数への影響

    • 令和7年9月の婚姻件数は前年同月比5.6%減と顕著な減少を示しています。

    • 婚姻件数の減少は、将来の出生数に直接的な影響を与える先行指標として極めて重要です。

    • 結婚を希望する若年層への経済的支援や、ライフスタイルの多様化に対応した社会制度の整備が求められます。

地域現場への影響

  • [経営・収益]

    • 人口減少と高齢化の進行により、地域によっては患者数の減少が避けられず、医療機関の経営環境は厳しさを増します。

    • 特に出生数減少は小児科・産婦人科への需要減少に直結し、これらの診療科を持つ医療機関は経営戦略の見直しが必要です。

    • 一方で、高齢者人口が一定期間増加する地域では、慢性疾患管理や在宅医療への需要が高まり、医療需要への対応が求められます。

  • [連携・実務]

    • 人口減少に伴い、医療・介護・福祉の連携強化がこれまで以上に重要になります。

    • 地域包括ケアシステムの実効性を高めるため、医療機関、介護施設、行政、地域住民が一体となった取り組みが必要です。

    • 出生数減少に対応した母子保健サービスの効率的な提供や、婚姻支援と連動した健康づくりの推進も検討されるでしょう。

  • [チャンス]

    • 人口減少社会においては、「量」ではなく「質」で勝負する医療機関が評価される時代になります。

    • 健康増進サービスの強化により、地域住民の健康寿命延伸に貢献することで、信頼と持続可能な経営基盤を構築できます。

    • データに基づく地域の健康課題の可視化と、エビデンスに基づく施策の提案により、行政や保険者との連携を深める機会が広がります。

引用

人口動態統計月報(概数)(令和7(2025)年9月分) www.mhlw.go.jp

令和7年9月概算医療費:4.8%の高い伸びと受診延日数の減少が示す医療行動の変容

初出:note(@ski_sph)

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