創業の想い
知のラストワンマイルを、
埋める。
医療の「知」は、最後の一区間だけ、届いていない。
CrossHealthは、その一区間『知のラストワンマイル』を埋めるためにつくった会社です。
やっていることは、ひとつです。
全国の薬局を単位に、地域を測る。
どこで薬局が先に細るのかを、公開されているデータだけで示しています。
どの薬局がいつ消えたかを、まとめて見られる場所がない
薬局が一軒消えると、そこへ通っていた人の薬が止まります。
それなのに日本には、どの薬局がいつ消えたのかを、まとめて見られる場所がありません。
行政の資料は県ごとにばらばらのPDFで置かれ、閉局は廃止届の山に埋もれています。
見えないと、どうなるか。ひとつだけ、実例を書きます。
計画に「へき地はない」と書かれた府で
大阪府の医療計画には「府内にへき地はない」と書かれています。すべての市町村に一般診療所が開設されているから、というのがその理由です。
ところが同じ府の千早赤阪村には、薬局が一軒もありません。診療所で処方箋は出ますが、村内にそれを受ける薬局がない。
国も自治体も、地域の医療は医師の分布で測ります。
その足元で薬局が消えていることは、いまの物差しでは見えません。
原点:すべての人の健康を守りたい
私は、臨床現場で働く薬剤師の両親のもとで育ちました。
「すべての人の健康を守ることに貢献したい」
——その想いで薬剤師になり、大学病院と地域の薬局で働きました。
現場は好きでした。
ただ、目の前の一人ひとりに向き合うほど、
「カウンターの向こうに来られない人を、自分は助けられていない」
という限界も感じました。
それが公衆衛生大学院(東京大学)に進んだ理由です。
修士を出たら教育か政策の現場に進むつもりが、研究の面白さに引き込まれ、いまは博士課程で研究を続けています。
『臨床』『研究』『政策』——そして教育と国際協力。
それぞれを渡り歩いて分かったのは、どの島にも素晴らしい人と知があり、そして橋が架かった瞬間に、知は何倍もの価値になるということでした。
この橋には、名前があります。
公衆衛生薬学(Public Health Pharmacy)。
薬剤師の視点で、理論と実務のあいだに橋を架ける学問であり、実践です。
CrossHealthは、その実践のかたちです。
薬局という単位で、地域を測る。
薬局は、まちの健康がいちばん先に現れる場所だからです。
Vision
薬剤師の知見と努力が、臨床を超えて、社会課題の解決に貢献できる世界をつくる。
Mission
知のラストワンマイルを、埋める。
目指す姿
まちの薬局の味方でいながら、行政の判断に使われる。Trusted by pharmacies. Used by policy.
ひとりでは、測りきれません
同じ志を持つ“同志”との連携も、広げています。
いま、持っているもの
ここまでは考え方の話でした。実際に何を持っているかを、3つだけ書きます。
1
全国を、同じ物差しで測ってある
47都道府県・1,890市区町村。 公開データを、どの地域も同じ手順で構造化しています。 あなたの街のレポートは、いま1,877地域で無料でお送りできます。
2
「廃止届」ではなく、本当に消えた薬局を数えられる
薬局が閉じた数は、廃止届の件数ではありません。移転も、承継による名義変更も、同じ届出で出てきます。大阪市では、直近12か月の廃止届123件のうち、 そのまま消えたのは33件でした。 ここを分けられないと、地域から失われた供給を4倍近く多く見積もることになります。
3
行政が自分の言葉で書いたものを、引ける
47都道府県の医療計画、地域医療構想調整会議の議事録、 そして中医協20年分・約4万7千件の発言を「誰が・どの立場で・何を言ったか」で引けます。 数字に、行政が使っている言葉を付けられます。
この3つが同時に揃っている場所は、たぶん他にありません。 そして3つ目があるから、1つ目と2つ目を行政が読める言葉で説明できます。
ただ、驚きは対価になりませんでした
図を見せると、たいてい驚かれます。「こんなに細かく出るんですね」と。
でも、驚きは対価になりませんでした。
読者は増えました。運営費も上回りました。
それでも払ってくださっているのは「見て面白い」と思った方であって、
限られた予算をどこに配るかを、決めなければならない立場の人ではありません。
金額が伸びないのは、値付けの問題ではありませんでした。構造の問題でした。
必要だったのは、細かさではなく「決める立場の人に届くこと」です。
順位をつける相手と、つけない相手
私たちのデータがいちばん高く売れる使い道は、たぶん出店候補地の順位づけと、 買収候補のスクリーニングです。そこには売りません。
まだ、そういう依頼は来ていません。だから、来る前に決めておきました。来てから考えると、たぶん受けてしまうからです。調剤チェーン・ドラッグストア、M&A仲介、医薬品卸へのデータ提供は行いません。 まちの薬局にとって、それは自分の生殺与奪を他人に渡すことになるからです。
ただし「誰に」で線を引くと破綻します。都道府県薬剤師会は個店の集合体ですが、 県から空白地対策を受託すれば公共の側に回ります。同じ相手が、日によって両側に立つ。だから線は用途で引いています。
個別の事業者の経営判断のためには、順位をつけません。出店の可否、承継の是非、採算の見通し。相手が個店でも、チェーンでも同じです。 公的データの実数をお渡しするところまでで、決めるのはご自身です。
公共の資源配分のためには、順位をつけます。県の基金配分、休日夜間の当番制と災害時拠点の設計、市町村のへき地対応。 住民の受療機会をどこに配分するかの問題は、順位をつけなければ決められないからです。
個店に順位をつけない事業者だから、行政の順位づけを預けていただける。 その順番でありたいと思っています。
どうやって続けているか
二階建てにしています。
一階は、都道府県や薬剤師会からの調査の受託です。どの地区から手を打つべきかを、公的データだけで出す仕事。 単価が乗り、成果が公表され、次の県が向こうから来ます。
二階は、まちの薬局との関係です。順位をつけないから、本音が集まる。続けるか、継ぐか、畳むか—— その相談が最初に来る場所でありたい。いちばん大きな仕事は、たぶんここから生まれます。
一階が食い扶持と信用をつくり、二階が事業になる。この順番は変えません。
代表プロフィール

木内 翔太 / Shota KIUCHI
薬剤師、公衆衛生学修士(MPH)
- 1994年 千葉県生まれ
- 私立市川中学・高等学校を卒業後、北里大学薬学部 入学・卒業(薬剤師)
- 東京科学大学病院 薬剤部、みどり薬局(東京都台東区)に勤務
- 東京大学大学院医学系研究科 公共健康医学専攻 入学・卒業(公衆衛生学修士 / MPH)/同 医学博士課程 在籍中
- 2026年8月 CrossHealth合同会社を創業
- 国立成育医療研究センター研究所 政策科学研究部 共同研究員、日本プライマリ・ケア連合学会 薬剤師部会委員、日本医療薬学会 学術小委員会委員。元・浅草薬剤師会 薬薬連携協議委員
その他の経歴:国立がん研究センター研究所/国立成育医療研究センター研究所/WHO神戸センター/笹川保健財団/国連フォーラム/(一社)スマートヘルスケア協会/(株)ナラティブトラスト/(株)データック/(株)Peds3/(株)プレモパートナー(インターンシップ等)
常夜灯機関について
この地図と分析の裏には、私たちが「常夜灯機関」と呼ぶ小さな研究組織があります。 正式名称は社会保障持久度研究班。 毎月自動で検証を開き、判断の基準は結果を見る前に固定し、データと不確実性をそのまま見せる。 外れた記録も残す。そういう仕組みで、数字の確からしさを担保しています。
常夜灯は、大きな灯りではありません。しかし消えない。まちの薬局がそうであるように。
最後に
日本は、人口減少と高齢化の課題先進国です。
ここで生まれる知とエビデンスは、これから同じ道をたどる世界の国々の役に立ちます。
だからこそ、島に眠らせておくわけにはいかない。
こうした挑戦は、たいてい東京から始まります。
でも、私たちは大阪から。
2026年8月、大阪・梅田で CrossHealth合同会社を設立しました。同じ志を持つ“同志”と、西から日本を動かしていきます。
橋を架けて、知を届ける。
あなたの現場の気づきも、その橋を渡れば、誰かを守る力になります。
大阪から、日本を動かそう。
CrossHealth 代表 木内 翔太 / Shota KIUCHI