千葉県香取海匝(二次医療圏)

CrossHealth / 薬局持久度レポート

歩いて行ける薬局が、県内でいちばん少ない圏域

香取海匝医療圏7市町の薬局を、供給・高齢化・経営体力・徒歩アクセスで見える化しました。地図の市町をクリックすると、さらに詳しいレポートへ進めます。

対象 香取海匝医療圏 7市町期間 2025年 → 2050年概要版・無料

この記事の数字について:出所は公開データ(厚生局・薬局機能情報提供制度=GMIS・NDBオープンデータ・社会保障人口問題研究所の将来推計人口など)。分析期間は上の「対象・期間」のとおりで、将来値は推計であり幅があります。検算のやり方と不確実性の扱いは方法論のページ →で説明しています。

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香取海匝医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)

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香取海匝医療圏は7市町・薬局141店。この圏域は、千葉県の9つの二次医療圏の中で徒歩10分以内に薬局がある人の割合(35.2%)も、かかりつけ薬剤師の届出率(58.5%)も、いちばん低い圏域です。県平均はそれぞれ79.0%・62.9%。薬局が減ったからではありません。2025年に閉じた薬局は1件・閉局率0.7%で、これも県内9圏域で最も低い水準です。

7
香取海匝医療圏の市町
141
圏内の薬局数
35.2%
徒歩10分以内に薬局がある人(県内最低)
58.5%
かかりつけ薬剤師の届出率(県内最低)

香取海匝医療圏は、利根川の下流から九十九里浜の北端までを一つにした圏域です。香取市・旭市・銚子市・匝瑳市・多古町・東庄町・神崎町の7市町、人口243,375人に薬局141店。高齢化率は38.6%で、県平均の28.3%を10ポイント以上上回ります。250mメッシュで最寄り薬局までの徒歩分数を計算すると、歩いて薬局に行ける人の割合は35.2%——県内9圏域で最も低く、157,609人、圏民の64.8%が徒歩10分の外にいます。薄さは一様ではありません。徒歩10分カバーは銚子市の74.0%から神崎町の20.7%まで53.3ポイント開き、この開きは県内9圏域で2番目の大きさです。7市町のうち6——神崎町・多古町・匝瑳市・香取市・東庄町・旭市——では住民の半分以上が徒歩10分の外に住んでいます。県内で薬局が20軒以上ある38市区町村を徒歩カバーの低い順に並べると、下位4つのうち3つ(匝瑳市・香取市・旭市)がこの圏域の市です。この薄さは、薬局が減った結果ではありません。2025年に圏内で閉じた薬局は1件(閉局率0.7%)、直近3年でも4件で、いずれも県内9圏域で最も少ない部類です。いまの141店がそろって残っている状態で、すでにこの数字だという点が、この圏域の出発点になります。もう一つが機能の届出です。かかりつけ薬剤師の届出率は圏全体で58.5%、地域連携薬局は28.1%で、どちらも県内9圏域で最低。ただしこれは一部の自治体が引き下げているのではありません。薬局が20軒以上ある4市(銚子市58.3%・香取市58.3%・旭市62.5%・匝瑳市57.9%)がそろって県平均を下回っており、圏全体が低いのが実際のかたちです。入院の側は逆の絵になります。圏内には病院が20施設・3,198床あり、人口千人あたり13.1床は県内2位(1位は安房の23.4床)。そのうち1,457床=46%が旭市に集まっています。入院を受ける器は県内でも厚いほうなのに、歩いて行ける調剤の網はいちばん粗い——この非対称が香取海匝の特徴です。圏内を千葉県の保健所の管轄にならって2つに割ると、海匝地域(銚子市・旭市・匝瑳市)は人口146,651人・薬局92店・徒歩10分カバー52.4%、香取地域(香取市・神崎町・多古町・東庄町)は人口96,724人・薬局49店・34.2%。海側のほうが厚く、内陸のほうが薄い構図です。人口は243,375→154,198人(-36.6%)、65歳以上も93,849→74,583人(-20.5%)。7市町のうち6で65歳以上人口のピークが2025年、つまりいまです。処方せん需要も同じだけ細り、圏全体では2025年を100として2050年に79.5になります。薬局1軒あたりの処方せんは圏平均10,948枚(県平均13,300枚)ですが、東庄町は薬局3軒に対して28,050枚と県内59市区町村で最も重い数字です。これは「儲かっている」のではなく、担い手の数がその地域の処方の量に追いついていないという意味です。

地図 ── クリックで深掘り薬局1軒あたり処方せんの、市町ごとの将来

色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045年の変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが銚子市(-9.6%)、いちばん緑なのが神崎町(+15.4%)で、同じ医療圏の中に25ポイントの開きがあります。

徒歩アクセス ── 歩いて行けるか県内9医療圏で、歩いて薬局に行ける人がいちばん少ない

250mメッシュで最寄り薬局までの徒歩分数を計算すると、香取海匝医療圏で徒歩10分以内に住む人は35.2%。県平均79.0%を大きく下回り、157,609人が圏外です。市町別では神崎町の20.7%から銚子市の74.0%まで53.3ポイント開き、6市町で50%を切ります。

人口動態 ── 需要の源7市町のうち6で、65歳以上人口はもう減りはじめている

総人口は243,375→154,198人(-36.6%)、65歳以上は93,849→74,583人(-20.5%)。高齢化率は38.6%→48.4%へ上がりますが、それは分母(総人口)が減るからで、分子(高齢者)も減っています。65歳以上人口のピークは圏全体で2025年です。

総人口65歳以上
0万8万15万22万30万20252030203520402045205015万7万
実データ(社人研 2023年推計)。7市町のうち6で65歳以上人口のピークが2025年。

地域の差 ── 市町差

銚子市
-9.6%
東庄町
-8.3%
多古町
-5.4%
──── ここから需要が増える地域────
匝瑳市
+4.6%
旭市
+11.1%
神崎町
+15.4%

くわしい数字7市町データ一覧

市区町村薬局高齢率
2025
1軒あたり処方せん
2025 → 2050
変化
銚子市3841.0%9,423 → 8,515-9.6%
香取市3740.3%11,900 → 11,743-1.3%
旭市3333.4%10,156 → 11,279+11.1%
匝瑳市 →2138.7%9,863 → 10,312+4.6%
多古町740.2%12,066 → 11,414-5.4%
東庄町342.7%28,050 → 25,732-8.3%
神崎町238.2%17,213 → 19,869+15.4%

※処方せん需要は香取海匝医療圏全体の実績(NDB 2023年・年間1,543,647枚)を市町の高齢人口で按分した推計です。個店のランキングは作りません。

この地図の使い方(3段階のドリルダウン)

  • 千葉県(ひとつ上・Lv1)=9つの二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
  • 香取海匝医療圏(このページ・Lv2)=7市町で「同じ圏域の中の差」を見る。
  • 匝瑳市(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・徒歩アクセス・経営シナリオまで。

香取海匝医療圏 7市区町村すべての詳細レポート(薬局持久度レポート会員向け・有料)

医療圏の型 ── 競争で減るのか、需要で減るのかこの圏は郊外型(需要減)です

薬局が閉じていく筋道には、大きく2つあります。ひとつは近くに薬局が多く、競争のなかで数が絞られていく道(都市型)。もうひとつは周りに薬局が少ないまま、患者そのものが減っていく道(郊外型)。香取海匝医療圏にいまある141軒それぞれについて、どちらの効き方が強いかを計算し、閉局の起こりやすさで重みづけて足し上げると、競争側の比率は0.43です(0.5以上なら都市型、それ未満なら郊外型)。この地域は郊外型(需要減)にあたります。需要の側は、この地域の総人口が2025→2045で-29.8%です。社人研の推計では、この地域は減り方が急な側(20年で15%超の減少)に入ります。全国47都道府県・335の二次医療圏・65,634行(うち移転や承継を除いた本当の閉局3,952件)を学習した統計モデルによる分類です。特定の地方だけで学んだモデルを他の県に当てはめたものではありません。共通の係数は47都道府県すべての実データから学習しており、この地域の値は、この地域に実際にある薬局の実測値から計算しています。この分類は「どの筋道で薬局が減りやすい地域か」を示すもので、個々の薬局の見通しではありませんし、出店や撤退の判断もしません。

機能の届出 ── 厚生局の名簿で数える地域支援・医薬品供給対応体制加算の届出は82.6%です

薬局の機能は、これまで薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告で数えていましたが、ここからは地方厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」で数え直しています。香取海匝医療圏でこの名簿に載っている保険薬局は132軒で、そのうち届出があるのは──地域支援・医薬品供給対応体制加算 109軒=82.6%、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)(推定) 69軒=52.3%、在宅薬学総合体制加算 32軒=24.2%、電子的調剤情報連携体制整備加算(推定) 90軒=68.2%です。名簿の版は令和8年7月1日版(東北厚生局=青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島の6県のみ令和8年6月1日版。7月分が未公開のため入手可能な最新を使用)。8つの厚生局・47都道府県をすべて同じ月の版でそろえてあるので、県どうしを並べて比べられます(GMISの自己申告は県によって取り込みの穴があり、これができませんでした)。推定を含む項目があります。「かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)」は令和8年度改定でかかりつけ薬剤師指導料・包括管理料は服薬管理指導料に統合され、単独の届出名称が無くなりました。新様式の名簿にある「服薬管理指導料の注1」を代理指標として数えた推定値です(告示・通知文の逐語確認はしていません)。「電子的調剤情報連携体制整備加算」は令和8年度改定で「医療DX推進体制整備加算」の後継と判断して数えた推定値です(同一制度の後継という対応関係は未確認)。このページがこれまで載せていた届出率は、改定前の版の名簿を店名で突き合わせて数えたものでした。並べると、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)は今回52.3%/これまで58.5%(差-6.2ポイント)、地域支援・医薬品供給対応体制加算は今回82.6%/これまで28.1%(差+54.5ポイント)、在宅薬学総合体制加算は今回24.2%/これまで32.6%(差-8.4ポイント)です。差の主な理由は3つで、(1)令和8年度改定で後発医薬品調剤体制加算が地域支援・医薬品供給対応体制加算に統合されたこと(地域支援の届出率が跳ね上がる)、(2)かかりつけ薬剤師指導料が服薬管理指導料に統合され、代理指標に切り替えたこと、(3)これまでが店名の突き合わせ、今回が医療機関コードでの集計であること。どちらかが誤りという意味ではありません。これから先は、47都道府県を同じ月の版でそろえた今回の数え方を主に使います。分母は名簿に載っている薬局の数で、このページの他の場所に出てくるGMIS由来の薬局数とは出典が違うため一致しません。また届出は「その体制をとると届け出た」という記録で、実際に提供された量ではありません。

このレポートの範囲と、正直な限界

  • 【このレポートで言えること】地域単位(都道府県・二次医療圏・市区町村)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き、そして徒歩でのアクセスです。地域の持続可能性を映すためのものです。
  • 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は潰れる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断もしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
  • 【処方せんの推計方法】香取海匝医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間1,543,647枚)を、市町ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。市町村別の実処方せんは公表されていません(NDBの最小公表単位が二次医療圏のため)。按分は「住んでいる人」を基準にしているので、旭市のように広域から患者が集まる病院のある市の実際の調剤枚数は、この推計より多い可能性があります。
  • 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として増えるか減るかは別で、この圏域は2025年を100として2050年に79.5——つまり圏全体では-20.5%縮みます。表の絶対量ベース列(chg_abs)が、その地域の実数としての増減です。
  • 【薬局数は2025年で固定】市町村別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。
  • 【閉局の件数が少ないこと】香取海匝医療圏の2025年の閉局は1件で、閉局率0.7%は県内9圏域で最も低い水準です。件数が少ないため、市町ごとの閉局率は1件の増減で大きく振れます。このレポートは閉局の多寡ではなく、いまある供給の分布を主題にしています。
  • 【閉局の数え方】関東信越厚生局の保険薬局「廃止」情報のうち、届出に新機関コード(=別のコードで事業が続く移転・承継)の記載がないものだけを「閉局」として数えています。2025年の千葉県は、廃止届115件のうち移転・承継が73件、閉局が42件でした。うち41件は住所から市区町村を特定でき、地域別の集計に使っています。※ 公開済みの大阪府版レポートは、この移転・承継を分けずに廃止届の全件を「閉局」として数えています。県をまたいで件数を比べるときはご注意ください。
  • 【徒歩アクセス】250mメッシュの人口(国勢調査ベースの将来人口メッシュ)ごとに、最寄りの調剤薬局までの直線距離を分速80m(時速4.8km)で割った近似です。実際の道路・坂・信号・バス・鉄道は考慮していません。市区町村の境をまたいだ最寄り薬局も「近い」と数えています(郊外では市境をまたぐ通院がふつうのため)。自動車での移動しやすさは、この指標では測れません。
  • 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、調剤をしないドラッグストア専業は含みません。位置は届出座標にもとづき、国土数値情報の市区町村境界への点内判定で地域に割り当てています。
  • 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。市町村ごとの実際の人口は、この推計と乖離しうるものです。
  • 【病院・病床】関東信越厚生局「保険医療機関指定一覧(医科)」にもとづく施設数と許可病床数です。精神・療養を含む全病床で、二次医療圏の基準病床数とは別の数字です。また、広域から患者を集める病院の病床は、その市町の住民のためだけのものではありません。
  • 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料・地域連携薬局・在宅対応などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告にもとづき、申告データのある135店を分母にしています(対象141店のうち)。届出=実際の提供実績ではありません。
  • 【小さすぎる分母】東庄町・多古町・神崎町は薬局が8軒に満たない自治体です(7市町中3)。1軒あたりの数値や届出率は1店の開廃で大きく振れるため、傾向としてのみお読みください。
  • 【2つの地域区分】圏内を「香取地域」「海匝地域」に分ける区切りは、千葉県の健康福祉センター(保健所)の管轄にならったものです。二次医療圏としては1つの圏域です。

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香取海匝医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)

薬局の分布と、同じ医療圏の市区町村どうしの落差を1冊にまとめました。出典と作成時点を入れてあるので、そのまま社内やご相談の資料にお使いいただけます。受け取る地域をお選びください。

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全国335の二次医療圏から、人口規模・高齢化率・薬局の薄さ・医薬分業率で似ている圏を、同じ県を除いて探しました。

病院側

香取海匝の病院に、薬剤師はいるか

ここまでは薬局の話です。同じ圏域の病院側を、公表データから測りました。 退院した患者を受けとめる側と、送り出す側は地続きです。

病院
19うち200床以上 3
薬剤管理指導料の届出
57.9%全国 65.8%
100床あたり常勤薬剤師
5.51全国 4.76人
病棟薬剤業務実施加算
21.1%全国 27.8%

入院した患者に薬剤師が関わる基本の体制が薬剤管理指導料です。この圏域は全国より低い。 病棟に薬剤師を置く病棟薬剤業務実施加算まで届けている病院は21.1%(全国27.8%)です。都道府県と協力して自院の薬剤師を薬剤師不足地域の医療機関へ出向させている病院(薬剤業務向上加算)は、この圏域にはありません。全国でも68病院にとどまります。

通院で抗がん剤治療を行う体制(外来腫瘍化学療法診療料)を届け出ている病院は3件。 そのうち、治療計画を地域の薬局と共有して薬局側でも副作用を確認できるようにする体制 (連携充実加算)まで届け出ている病院は1件(33.3%)です(全国50.5%)。

届出=地方厚生局「届出受理医療機関名簿(医科)」令和8年8月1日現在(関東信越・東北は同7月1日現在)。 病院=病床20以上の医科医療機関。薬剤師数=厚生労働省「令和7年度 病床機能報告」施設票、 令和7年7月1日時点の常勤の実人数。この2つは基準日が1年ずれています。病床機能報告は一般病床または療養病床を持つ病院が対象で、精神病床だけの病院は載りません (この圏域では19件のうち13件が薬剤師数の分母)。 届出があること=算定していること、ではありません。 外来化学療法の内訳は、その届出が3件未満の圏域では伏せています(1〜2件で「連携0件」と書くと 特定の病院を指すことになるため)。個別の病院名は出していません。

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自治体・薬剤師会・研究者の方へ。この地域のより詳しい分析や、地域医療構想調整会議・研修でそのまま使える資料の作成を承ります(圏域ブリーフ ¥100,000〜)。個店のランキングや出店指南は行いません。

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