岩手県盛岡(二次医療圏)

CrossHealth / 薬局持久度レポート

県で唯一増える医療圏の中に、県で2番目に縮む町があります

盛岡医療圏8市町村の薬局を、供給・高齢化・経営体力・広さで見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。

データ基準:2025年市町村:8薬局:262軒

この記事の数字について:出所は公開データ(厚生局・薬局機能情報提供制度=GMIS・NDBオープンデータ・社会保障人口問題研究所の将来推計人口など)。分析期間は上の「対象・期間」のとおりで、将来値は推計であり幅があります。検算のやり方と不確実性の扱いは方法論のページ →で説明しています。

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盛岡医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)

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盛岡医療圏は、薬局262軒=岩手県の41.9%が集まる県内最大の圏域です。岩手県の9つの医療圏のうち、2045年に処方せん需要が増えるのはこの圏だけ(+4.2%)。けれども圏の中を8つの市町村に割ると、増えるのが4つ、減るのが4つにきれいに分かれます。いちばん増える滝沢市(65歳以上 +13.9%)といちばん減る葛巻町(-35.6%)の差は49.5ポイントで、岩手県の医療圏どうしの差(28.9ポイント)より大きい。

262
薬局
県内の41.9%
47.5pt
経営体力の落差
圏内8市町村・相対値
13.9km²
薬局1軒あたりの面積
市町村では4.2〜434.5km²(103.5倍)
4/8
65歳以上が増える市町村
残る4市町村は2025年がピーク

この圏域は、盛岡市とその周りの7市町でできています。薬局は262軒のうち194軒(74.0%)が盛岡市にあり、次が滝沢市17軒・矢巾町16軒と続きます。いちばん少ないのは葛巻町の1軒です。増える側の4市町(紫波町/盛岡市/矢巾町/滝沢市)はいずれも盛岡市に隣接するか盛岡市そのもので、減る側の4市町(葛巻町/八幡平市/岩手町/雫石町)はいずれも圏の外周にあたります。

地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市町村ごとの将来

色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん緑なのが滝沢市(+9.3%)、いちばん赤いのが葛巻町(-38.2%)です。

広さ ── 向きと、きれいに重なります薬局1軒あたりの面積で並べると、そのまま増減の順になります

この圏の面積は3,638 km²で、岩手県の医療圏では最大です。薬局1軒あたりの面積は矢巾町の4.2 km²から葛巻町の434.5 km²まで103.5倍開きます。面白いのは、この広さの順番がそのまま増減の順番になっていることです。狭いほうから4つ(矢巾町/盛岡市/滝沢市/紫波町)はすべて65歳以上が増え、広いほうから4つ(八幡平市/岩手町/雫石町/葛巻町)はすべて減ります。順位相関は-0.83。ただしこれは相関であって因果ではありません。「広いから薬局が減る」という読み方はできません。また薬局1軒あたりの面積は、道路も公共交通も冬の通行止めも含まない幾何の指標で、徒歩10分カバー率の代わりではありません

人口動態 ── 需要の源圏全体では増える。ただし8市町村のうち4つは、もう減りはじめています

なぜ市町村で明暗が分かれるのか。もとをたどると人口の動きです。盛岡医療圏全体では、総人口は44.8万→36.5万人(-18.3%)と減り、65歳以上は142,378→148,378人(+4.2%)と増えます。高齢化率は31.8%→40.6%。ただし65歳以上人口のピークがすでに2025年という市町村が4つ(葛巻町/八幡平市/岩手町/雫石町)あり、そこにある薬局は23軒です。2050年まで増え続ける市町村は0、うち圏の需要のほとんどを支えるのは盛岡市です。

総人口65歳以上
0万12万25万38万50万20252030203520402045205034万14万
実データ(社人研 将来推計人口・2023年推計)。総人口は右肩下がり、65歳以上は2040年まで増加。

地域の差 ── 市町村の差需要が増える市町・相対的に減る市町

葛巻町(-38.2%)から滝沢市(+9.3%)まで47.5ポイントの開き。マイナスは5市町、プラスは3市町です。ここで注意が必要なのは、葛巻町の1軒あたり処方せん(61,355枚)が町ぶんの処方せんを薬局1軒に按分した計算値であって実測ではないことです。薬局が8軒以上ある市町村に限ると、いま最も厚いのは滝沢市です。

葛巻町
-38.2%
八幡平市
-28.0%
岩手町
-26.9%
雫石町
-22.0%
──── ここから需要が増える地域────
盛岡市
+5.3%
矢巾町
+7.9%
滝沢市
+9.3%

くわしい数字8市町村データ一覧

市区町村薬局高齢率
2025
1軒あたり処方せん
2025 → 2050
変化
盛岡市19430.2%10,415 → 10,965+5.3%
滝沢市1728.4%21,741 → 23,769+9.3%
矢巾町1628.9%11,797 → 12,727+7.9%
八幡平市1345.5%18,003 → 12,958-28.0%
紫波町1233.1%20,566 → 20,057-2.5%
雫石町542.2%28,419 → 22,181-22.0%
岩手町444.2%27,745 → 20,290-26.9%
葛巻町152.0%61,355 → 37,907-38.2%

市町村別の詳細ページ(Lv3)盛岡市八幡平市滝沢市雫石町葛巻町岩手町紫波町矢巾町

※処方せん需要は盛岡医療圏全体の実績(NDB 2023年)を市町村の高齢人口で按分した推計です。閉局は圏の合計としてのみお読みください(市町村別は分母が小さすぎます)。**閉局率は算出していません。** かかりつけ・地域連携・在宅の届出率は、GMISの取り込みが済んでいないため空欄です(0%ではありません)。

承継 ── 7ヶ月ぶんしか数えられません廃止届9件のうち、そのまま消えたのは4件でした(2025年10月〜2026年4月)

この圏の廃止届は、号がそろう7ヶ月で9件。うち移転・承継が5件、そのまま消えた「真の閉局」が4件でした。率にはしていません。分子が1桁で、1件動くだけで大きく変わるためです。14ヶ月まで広げた参考値でも真の閉局8件・廃止届16件で、やはり率にできる量ではありません。しかもこの参考値は号のそろわない月を含むぶん下限値です。なお数字には、文字データの入っていない画像PDFを目視で読み取って復元したぶんが含まれています(この圏では真の閉局1件・移転承継0件)。

この地図の使い方(3段階のドリルダウン)

  • 盛岡市(Lv3候補・本命)
  • 八幡平市(Lv3候補・次点)
  • 岩手県(Lv1)へ戻る

盛岡医療圏 8市区町村すべての詳細レポート(薬局持久度レポート会員向け・有料)

医療圏の型 ── 競争で減るのか、需要で減るのかこの圏は都市型(競争淘汰)です

薬局が閉じていく筋道には、大きく2つあります。ひとつは近くに薬局が多く、競争のなかで数が絞られていく道(都市型)。もうひとつは周りに薬局が少ないまま、患者そのものが減っていく道(郊外型)。盛岡医療圏にいまある262軒それぞれについて、どちらの効き方が強いかを計算し、閉局の起こりやすさで重みづけて足し上げると、競争側の比率は0.54です(0.5以上なら都市型、それ未満なら郊外型)。この地域は都市型(競争淘汰)にあたります。需要の側は、この地域の総人口が2025→2045で-18.3%です。社人研の推計では、この地域は減り方が急な側(20年で15%超の減少)に入ります。全国47都道府県・335の二次医療圏・65,634行(うち移転や承継を除いた本当の閉局3,952件)を学習した統計モデルによる分類です。特定の地方だけで学んだモデルを他の県に当てはめたものではありません。共通の係数は47都道府県すべての実データから学習しており、この地域の値は、この地域に実際にある薬局の実測値から計算しています。廃止届の名簿がそろっている期間が16ヶ月しかありません。この分類は2025〜26年の実績水準がこの先も続くと置いた場合の姿です。東北6県は画像PDFの廃止届が未回収で、閉局の捕捉が下限にとどまる可能性があります(統計的な下限の証拠は出ていませんが、回収の来歴から保守的に扱っています)。この県で数えられた「本当の閉局」は14件と少なく、1件の増減で率が動きます。この分類は「どの筋道で薬局が減りやすい地域か」を示すもので、個々の薬局の見通しではありませんし、出店や撤退の判断もしません。

機能の届出 ── 厚生局の名簿で数える地域支援・医薬品供給対応体制加算の届出は96.2%です

薬局の機能は、これまで薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告で数えていましたが、ここからは地方厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」で数え直しています。盛岡医療圏でこの名簿に載っている保険薬局は264軒で、そのうち届出があるのは──地域支援・医薬品供給対応体制加算 254軒=96.2%、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)(推定) 137軒=51.9%、在宅薬学総合体制加算 79軒=29.9%、電子的調剤情報連携体制整備加算(推定) 249軒=94.3%です。名簿の版は令和8年7月1日版(東北厚生局=青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島の6県のみ令和8年6月1日版。7月分が未公開のため入手可能な最新を使用)。8つの厚生局・47都道府県をすべて同じ月の版でそろえてあるので、県どうしを並べて比べられます(GMISの自己申告は県によって取り込みの穴があり、これができませんでした)。推定を含む項目があります。「かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)」は令和8年度改定でかかりつけ薬剤師指導料・包括管理料は服薬管理指導料に統合され、単独の届出名称が無くなりました。新様式の名簿にある「服薬管理指導料の注1」を代理指標として数えた推定値です(告示・通知文の逐語確認はしていません)。「電子的調剤情報連携体制整備加算」は令和8年度改定で「医療DX推進体制整備加算」の後継と判断して数えた推定値です(同一制度の後継という対応関係は未確認)。分母は名簿に載っている薬局の数で、このページの他の場所に出てくるGMIS由来の薬局数とは出典が違うため一致しません。また届出は「その体制をとると届け出た」という記録で、実際に提供された量ではありません。

このレポートの範囲と、正直な限界

  • この地図の色は圏内での相対値(圏の高齢人口シェアの移動)です。県版(Lv1)の色は絶対値で、意味が違います。
  • ★**閉局率は市町村別にも圏別にも出していません。** 既定窓(2025年10月〜2026年4月の7ヶ月)の廃止届は圏で8件しかなく、率にすると1件で大きく動くためです。件数だけをお読みください。
  • 閉局の既定窓は7ヶ月で、1年ぶんではありません。処理月2025年9月ぶんの一覧表が手元に無く、2025年11月・2026年5月・2026年6月ぶんはPDFがあってもテキスト層が無いため、この3本は**目視で読み取って復元**しています(店名・開設者名は記録していません)。
  • ★**かかりつけ・地域連携・在宅の届出率は出していません。0%ではありません。** GMIS機能情報が岩手県では625軒中25軒(4.0%)にしか入っていないためです。
  • 市町村別の処方せんは実測ではありません。盛岡医療圏全体のNDB実績(2023年)を各市町村の65歳以上人口で按分した推計です。薬局1軒の葛巻町では按分値が極端に跳ねます。
  • 薬局1軒あたりの面積は徒歩カバー率の代用ではありません。道路・公共交通・冬期の通行止めを含まない幾何の指標です(本レポートでは徒歩アクセスを算出していません)。
  • ★広さと需要の向きがきれいに分かれることは相関であって因果ではありません。「広いから薬局が減る」とは読まないでください。
  • 薬局1軒の葛巻町は、市町村単位の集計がそのまま個店の記述になるため、Lv3の対象から外しています。
  • 薬局数は2025年時点で固定しています。2045年の薬局店数の推計は、いまも掲載していません(参入と退出の数え方がそろわないため)。医療圏の「都市型/郊外型」の分類は、供給の統計モデルが47都道府県フル学習になったので掲載に切り替えました。
  • 多年・暦年推移・前年比は作れません。名簿が12ヶ月ぶんしか無く、そのうち号が欠けているためです。
  • 本レポートは東日本大震災との因果を一切主張しません(盛岡医療圏は内陸で沿岸被災地を含みませんが、県版と同じ扱いを明記します)。
  • 個店のランキング・名指しの閉局予測・出店戦略の助言は一切含んでいません。地域単位の事実のみです。

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盛岡医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)

薬局の分布と、同じ医療圏の市区町村どうしの落差を1冊にまとめました。出典と作成時点を入れてあるので、そのまま社内やご相談の資料にお使いいただけます。受け取る地域をお選びください。

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病院側

盛岡の病院に、薬剤師はいるか

ここまでは薬局の話です。同じ圏域の病院側を、公表データから測りました。 退院した患者を受けとめる側と、送り出す側は地続きです。

病院
35うち200床以上 9
薬剤管理指導料の届出
54.3%全国 65.8%
100床あたり常勤薬剤師
5.21全国 4.76人
病棟薬剤業務実施加算
20%全国 27.8%

入院した患者に薬剤師が関わる基本の体制が薬剤管理指導料です。この圏域は全国より低い。 病棟に薬剤師を置く病棟薬剤業務実施加算まで届けている病院は20%(全国27.8%)です。都道府県と協力して自院の薬剤師を薬剤師不足地域の医療機関へ出向させている病院(薬剤業務向上加算)は、この圏域にはありません。全国でも68病院にとどまります。

通院で抗がん剤治療を行う体制(外来腫瘍化学療法診療料)を届け出ている病院は7件。 そのうち、治療計画を地域の薬局と共有して薬局側でも副作用を確認できるようにする体制 (連携充実加算)まで届け出ている病院は3件(42.9%)です(全国50.5%)。

届出=地方厚生局「届出受理医療機関名簿(医科)」令和8年8月1日現在(関東信越・東北は同7月1日現在)。 病院=病床20以上の医科医療機関。薬剤師数=厚生労働省「令和7年度 病床機能報告」施設票、 令和7年7月1日時点の常勤の実人数。この2つは基準日が1年ずれています。病床機能報告は一般病床または療養病床を持つ病院が対象で、精神病床だけの病院は載りません (この圏域では35件のうち25件が薬剤師数の分母)。 届出があること=算定していること、ではありません。 外来化学療法の内訳は、その届出が3件未満の圏域では伏せています(1〜2件で「連携0件」と書くと 特定の病院を指すことになるため)。個別の病院名は出していません。

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