大分県中部(二次医療圏)

CrossHealth / 薬局持久度レポート

県で唯一「増える」医療圏。増えるのは4市のうち1市だけです

中部医療圏4市の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。

対象 中部医療圏 4市期間 2025年 → 2045年概要版・無料

この記事の数字について:出所は公開データ(厚生局・薬局機能情報提供制度=GMIS・NDBオープンデータ・社会保障人口問題研究所の将来推計人口など)。分析期間は上の「対象・期間」のとおりで、将来値は推計であり幅があります。検算のやり方と不確実性の扱いは方法論のページ →で説明しています。

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中部医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)

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中部医療圏(大分市・臼杵市・由布市・津久見市)は、薬局280軒=大分県全体の49.3%が集まる圏域です。うち239軒(圏内の85.4%)は大分市にあります。65歳以上人口は2045年までに+4.9%と増え、大分県6医療圏で唯一の増加です。ところが圏内の4市を並べると、増えるのは大分市だけ。残る3市は65歳以上人口がすでに2025年でピークを打っています。薬局1軒あたり処方せんの動き(圏内での相対値)は-38.0%から+5.8%まで43.8ポイント開き、これは大分県の医療圏どうしの落差36.3ポイントより大きい幅です。

4
中部医療圏の市
280
圏内の薬局数
8
直近12ヶ月に閉じた薬局(承継・移転を除く)
-38〜+6%
経営体力の変化レンジ(市差)

大分市が圏内の薬局の85.4%・65歳以上人口の81.1%を占めるため、圏の平均は事実上大分市の数字です。大分市の65歳以上人口は2045年まで+10.9%増え、圏内でのシェアも+5.8%取ります。その裏で津久見市(-38.0%)・臼杵市(-26.9%)・由布市(-13.6%)がシェアを失います。ここが石川県・兵庫県の事例と違うところで、この3市はシェアを失うだけでなく、65歳以上人口そのものが減ります(-35.0%・-23.4%・-9.4%)。「相対的に沈む」のではなく「実数で減る」のです。もうひとつの見どころが現在の厚みです。いま1軒あたりの処方せんがいちばん多いのは津久見市(19,989枚)、いちばん少ないのが大分市(13,630枚)で、圏内で1.47倍。つまりいま厚い3市がこれから縮み、いちばん薄い大分市だけが厚くなるという並びです。大分県全体では1軒あたりが医療圏どうしで1.18倍しか開かないのに、この圏の中だけで1.47倍——医療圏という単位が何を隠すかがよく見えます。広さも圏内でかなり違います。大分市は502.4km²に239軒(2.1km²に1軒)、由布市は320.3km²に15軒(21.35km²に1軒)で、同じ圏内で10.2倍です。閉局については、この12ヶ月に圏内で出た廃止届26件のうち24件が大分市に集中し、残り2件は津久見市でした(臼杵市・由布市は0件)。うち18件は移転・承継で事業が続き、そのまま消えたのは8軒です。8件という数は市どうしの比較に耐える量ではありません。閉局は圏の合計としてだけお読みください。

地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市ごとの将来

色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん緑なのが大分市(+5.8%)、いちばん赤いのが津久見市(-38.0%)で、同じ中部医療圏の中に43.8ポイントの開きがあります。この色は圏内での相対値である点にご注意ください。ただしこの圏では、赤い3市は絶対量でも減ります(65歳以上人口が-35.0%〜-9.4%)。

人口動態 ── 需要の源中部医療圏は「人は減り、お年寄りは少しだけ増える」

なぜ市で明暗が分かれるのか。もとをたどると人口の動きです。中部医療圏全体では、総人口は55.0万→48.7万人(-11.5%)と減り、65歳以上は17.1万→18.0万人(+4.9%)と少し増えます。高齢化率は31.1%→36.9%へ。65歳以上のピークは2045年です。ただしこの「少しだけ増える」は圏の合計の話で、圏内4市のうち65歳以上人口が2045年までに減る市は3、すでにピークを過ぎた市も3あります。増えているのは大分市1市だけです。大分県全体では6医療圏のうち5圏(豊肥・南部・西部・東部・北部)がすでにピークを過ぎ、18市町村のうち16市町村が減少局面にあります。この圏域は、大分県の中では例外的に「まだ増える側」に見えますが、中身は大分市だけが支えています。

総人口65歳以上
0万15万30万45万60万20252030203520402045205047万18万
実データ(社人研 将来推計人口・2023年推計)。総人口は右肩下がり、65歳以上は2045年まで増加。

地域の差 ── 市の差需要が増える市・減る市

津久見市(-38.0%)から大分市(+5.8%)まで43.8ポイントの開き。マイナスは3市で、プラスは大分市1市です。この圏域は4市とも薬局が8軒以上あり、市町村が3つ以上ある大分県の医療圏4つのうち、「薬局8軒未満の市町村」も「薬局0軒の市町村」も含まないのはこの圏だけです(県内には薬局2軒の町・0軒の村もあり、そこでは1軒あたりの数値が意味を持ちません)。だからこのページでは市どうしを並べられます。

津久見市
-38.0%
臼杵市
-26.9%
──── ここから需要が増える地域────
由布市
-13.6%
大分市
+5.8%

くわしい数字4市データ一覧

市区町村薬局高齢率
2025
1軒あたり処方せん
2025 → 2045
変化
大分市23929.4%13,630 → 14,415+5.8%
臼杵市1844.3%18,913 → 13,821-26.9%
由布市1535.1%17,359 → 14,996-13.6%
津久見市848.4%19,989 → 12,398-38.0%

※処方せん需要は中部医療圏全体の実績(NDB)を市の高齢人口で按分した推計です。閉局は圏の合計としてのみお読みください(市別は件数が少なすぎます)。かかりつけ・地域連携・在宅の届出率は、大分県では元データが未取込のため算出できません(0%ではありません)。(→ この波で、厚生局の施設基準届出受理医療機関名簿で数え直した届出率をこのページに載せました。GMISの自己申告からは算出できないという直前の説明は、GMISについてはいまも有効です。)個店のランキングは作りません。

この地図の使い方(3段階のドリルダウン)

  • 大分県(ひとつ上・Lv1)=6つの二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
  • 中部医療圏(このページ・Lv2)=4市で「同じ圏域の中の差」を見る。
  • 市(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。

中部医療圏 4市区町村すべての詳細レポート(薬局持久度レポート会員向け・有料)

医療圏の型 ── 競争で減るのか、需要で減るのかこの圏は都市型(競争淘汰)です

薬局が閉じていく筋道には、大きく2つあります。ひとつは近くに薬局が多く、競争のなかで数が絞られていく道(都市型)。もうひとつは周りに薬局が少ないまま、患者そのものが減っていく道(郊外型)。中部医療圏にいまある280軒それぞれについて、どちらの効き方が強いかを計算し、閉局の起こりやすさで重みづけて足し上げると、競争側の比率は0.60です(0.5以上なら都市型、それ未満なら郊外型)。この地域は都市型(競争淘汰)にあたります。需要の側は、この地域の総人口が2025→2045で-11.5%です。全国47都道府県・335の二次医療圏・65,634行(うち移転や承継を除いた本当の閉局3,952件)を学習した統計モデルによる分類です。特定の地方だけで学んだモデルを他の県に当てはめたものではありません。共通の係数は47都道府県すべての実データから学習しており、この地域の値は、この地域に実際にある薬局の実測値から計算しています。この分類は「どの筋道で薬局が減りやすい地域か」を示すもので、個々の薬局の見通しではありませんし、出店や撤退の判断もしません。

機能の届出 ── 厚生局の名簿で数える地域支援・医薬品供給対応体制加算の届出は89.9%です

薬局の機能は、これまで薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告で数えていましたが、ここからは地方厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」で数え直しています。中部医療圏でこの名簿に載っている保険薬局は287軒で、そのうち届出があるのは──地域支援・医薬品供給対応体制加算 258軒=89.9%、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)(推定) 166軒=57.8%、在宅薬学総合体制加算 123軒=42.9%、電子的調剤情報連携体制整備加算(推定) 232軒=80.8%です。名簿の版は令和8年7月1日版(東北厚生局=青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島の6県のみ令和8年6月1日版。7月分が未公開のため入手可能な最新を使用)。8つの厚生局・47都道府県をすべて同じ月の版でそろえてあるので、県どうしを並べて比べられます(GMISの自己申告は県によって取り込みの穴があり、これができませんでした)。推定を含む項目があります。「かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)」は令和8年度改定でかかりつけ薬剤師指導料・包括管理料は服薬管理指導料に統合され、単独の届出名称が無くなりました。新様式の名簿にある「服薬管理指導料の注1」を代理指標として数えた推定値です(告示・通知文の逐語確認はしていません)。「電子的調剤情報連携体制整備加算」は令和8年度改定で「医療DX推進体制整備加算」の後継と判断して数えた推定値です(同一制度の後継という対応関係は未確認)。分母は名簿に載っている薬局の数で、このページの他の場所に出てくるGMIS由来の薬局数とは出典が違うため一致しません。また届出は「その体制をとると届け出た」という記録で、実際に提供された量ではありません。

このレポートの範囲と、正直な限界

  • 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市区町村)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
  • 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
  • ★【かかりつけ・地域連携・在宅の届出率は出していません(0%ではありません)】薬局機能情報提供制度(GMIS)の機能フラグが、大分県では県内の薬局に1件も立っていません。データが県まるごと未取込である、という意味です。「届出率0.0%」と書くと事実と違うことを公開してしまうため、この3軸はページから外しています。取り込まれ次第、他県と同じ軸を追加します。(同じ状態の都道府県が全国で14県あります。)
  • 【処方せんの推計方法】中部医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間4,018,186枚)を、市ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。この圏の院外処方率は81.9%で、大分県6医療圏のなかで3番目に高い値です。
  • 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。ただしこの圏では、マイナスの3市は絶対量でも65歳以上人口が減ります(-35.0%〜-9.4%)。相対値がマイナスであることと実数が減ることが同時に起きている点が、他県のLv2ページとの違いです。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(大分県=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に104.9)。
  • 【薬局数は2025年で固定】市別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
  • 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
  • 【閉局の数え方と集計期間】九州厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています(中部医療圏で8件)。廃止届は全部で26件出ていますが、そのうち18件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだ=その場所から薬局が消えてはいない、と読めます。集計期間は2025年5月〜2026年4月(12ヶ月)です。
  • ★【この閉局率を、他の地方の県と比べないでください】九州厚生局の廃止名簿は厚生局サイト本体からの収集で、捕捉率が構造的に高いことが分かっています。同じ12ヶ月窓で薬局1軒あたりの廃止届の数を都道府県別に出すと、九州8県は3.78〜9.55%で、東海北陸6県(1.42〜2.65%)をブロックごと上回ります。大分県・この医療圏の閉局率を、東海北陸や近畿の地域と直接比べることはできません。比べられるのは同じ厚生局(福岡・佐賀・長崎・熊本・宮崎・鹿児島・沖縄)までです。また『廃止届が0件』は『薬局が閉じなかった』ことの証明ではありません。
  • 【閉局は市別に読まないでください】この圏域の真の閉局8件は大分県全体でも13件しかない事象の一部です。市ごとに割ると0〜8件となり、1件の増減で率が数ポイント動きます。市別の閉局数はJSONには入れていますが、市どうしの順位づけや「この市は閉局が多い」という読み方には使えません。
  • 【長い窓の件数は下限です】4年窓・全期間窓の件数は、廃止名簿の号が2024年に5号ぶん取り込まれていないため過少計上のおそれがあります(詳細はLv1ページの注記)。既定の12ヶ月窓はこの穴の外で、影響を受けません。
  • 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出上の市区町村コードで割り当てています(大分県は全店に市区町村コードがあります)。
  • 【面積の使い方】面積は国土数値情報の行政区域(2024年1月1日)から算出しています。1軒あたり面積は「その市の面積÷薬局数」で、実際に住民が歩く距離ではありません。大分県は250mメッシュの人口基盤が21,665セル投入済みですが、千葉県版で出した「徒歩10分以内カバー率」の算出は本レポートにはまだ入れていません。次回更新で追加予定です。
  • 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。
  • 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計は、いまも出していません(参入と退出の数え方がそろわず、そのまま回すと全国で薬局が2割以上増える計算になってしまうため)。医療圏の「都市型/郊外型」分類は、供給の統計モデルが47都道府県フル学習になったので掲載に切り替えました。

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中部医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)

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病院側

中部の病院に、薬剤師はいるか

ここまでは薬局の話です。同じ圏域の病院側を、公表データから測りました。 退院した患者を受けとめる側と、送り出す側は地続きです。

病院
62うち200床以上 13
薬剤管理指導料の届出
51.6%全国 65.8%
100床あたり常勤薬剤師
4.79全国 4.76人
病棟薬剤業務実施加算
25.8%全国 27.8%

入院した患者に薬剤師が関わる基本の体制が薬剤管理指導料です。この圏域は全国より低い。 病棟に薬剤師を置く病棟薬剤業務実施加算まで届けている病院は25.8%(全国27.8%)です。都道府県と協力して自院の薬剤師を薬剤師不足地域の医療機関へ出向させている病院(薬剤業務向上加算)は2件あります。

通院で抗がん剤治療を行う体制(外来腫瘍化学療法診療料)を届け出ている病院は13件。 そのうち、治療計画を地域の薬局と共有して薬局側でも副作用を確認できるようにする体制 (連携充実加算)まで届け出ている病院は6件(46.2%)です(全国50.5%)。

届出=地方厚生局「届出受理医療機関名簿(医科)」令和8年8月1日現在(関東信越・東北は同7月1日現在)。 病院=病床20以上の医科医療機関。薬剤師数=厚生労働省「令和7年度 病床機能報告」施設票、 令和7年7月1日時点の常勤の実人数。この2つは基準日が1年ずれています。病床機能報告は一般病床または療養病床を持つ病院が対象で、精神病床だけの病院は載りません (この圏域では62件のうち44件が薬剤師数の分母)。 届出があること=算定していること、ではありません。 外来化学療法の内訳は、その届出が3件未満の圏域では伏せています(1〜2件で「連携0件」と書くと 特定の病院を指すことになるため)。個別の病院名は出していません。

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自治体・薬剤師会・研究者の方へ。この地域のより詳しい分析や、地域医療構想調整会議・研修でそのまま使える資料の作成を承ります(圏域ブリーフ ¥100,000〜)。個店のランキングや出店指南は行いません。

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