佐賀県中部(二次医療圏)

CrossHealth / 薬局持久度レポート

県庁所在地のある圏域で、いちばん先に細るのはどこか

中部医療圏5市町の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。

対象 中部医療圏 5市町期間 2025年 → 2045年概要版・無料

この記事の数字について:出所は公開データ(厚生局・薬局機能情報提供制度=GMIS・NDBオープンデータ・社会保障人口問題研究所の将来推計人口など)。分析期間は上の「対象・期間」のとおりで、将来値は推計であり幅があります。検算のやり方と不確実性の扱いは方法論のページ →で説明しています。

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中部医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)

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中部医療圏は佐賀市・多久市・小城市・神埼市・吉野ヶ里町の5市町からなり、薬局は232軒——佐賀県502軒の46.2%がこの圏域にあります(県内1位)。圏全体では65歳以上人口が2025→2045年で+3.3%と増える、佐賀県で数少ないプラスの圏域です。ところが中を5市町に割ると、多久市の-20.3%から佐賀市の+3.4%まで23.7ポイント——佐賀県5医療圏どうしの落差21.6ポイントより大きく開きます。

5
中部医療圏の市町
232
圏内の薬局数
2
65歳以上人口がピークを過ぎた市町
-20〜+3%
経営体力の変化レンジ(市町差)

中部医療圏の5市町のうち、65歳以上人口がすでにピークを過ぎているのは多久市・神埼市の2市。残る3市町のピークは小城市2040年・佐賀市2045年・吉野ヶ里町2050年で、まだ先です。経営体力(薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化・圏内での相対値)で見ると、いちばん沈むのが多久市(-20.3%)、いちばん伸びるのが佐賀市(+3.4%)。マイナス側は3市町です。多久市は65歳以上人口そのものが-17.7%、総人口も-31.7%と圏内でもっとも速く縮み、2045年の高齢化率は47.9%になります。いっぽう佐賀市は薬局173軒で圏内の74.6%を占め、経営体力も+3.4%とプラス側にいます。現在の1軒あたり処方せんは多久市の19,437枚が最も多く、佐賀市の11,464枚が最も少ない——つまりいま最も厚い市が、いちばん速く薄くなる側にいます。広さで見ると薬局1軒あたり佐賀市2.5km²から多久市9.66km²まで3.9倍の開きがあります。閉局については、直近12ヶ月にこの圏域で出された廃止届は8件(うち移転・承継5件、そのまま消えたのが3件)。5年に広げると廃止届47件・真の閉局13件で、引き継がれなかった割合は27.7%です。★ただし名簿の号に2024年の欠落があるため、この5年窓の件数は下限です(既定の12ヶ月窓は影響を受けません)。件数がこの規模なので、市町ごとの閉局率を並べることはしていません。

地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市町ごとの将来

色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが多久市(-20.3%)、いちばん緑なのが佐賀市(+3.4%)で、同じ中部医療圏の中に23.7ポイントの開きがあります。この色は圏内でのシェア移動を示す相対値です。圏全体としての増減はひとつ上の階層(佐賀県=Lv1)の絶対値で見てください(この圏域は+3.3%)。

人口動態 ── 需要の源圏全体は+3.3%。でも2市町では、もう減る

なぜ市町で明暗が分かれるのか。もとをたどると人口の動きです。中部医療圏全体では、総人口は33.4万→28.9万人(-13.5%)と減る一方、65歳以上は10.3万→10.6万人(+3.3%)と増えます。高齢化率は30.9%→36.9%へ。65歳以上のピークは圏全体で2040年です。ただしこれは圏の平均で、圏内5市町のうち2市町では65歳以上人口が2045年までに減ります。多久市は65歳以上が-17.7%で、総人口も-31.7%と圏内でもっとも減ります。佐賀県全体では65歳以上が-1.9%と減る推計ですから、この圏域は県のなかでは「まだ増える側」にいます。

総人口65歳以上
0万10万20万30万40万20252030203520402045205028万10万
実データ(社人研 将来推計人口・2023年推計)。総人口は2025年から2050年まで一貫して減り、65歳以上のピークは2040年。

地域の差 ── 市町差需要が減る市町・増える市町

多久市(-20.3%)から佐賀市(+3.4%)まで23.7ポイントの開き。マイナスは3市町です。中部医療圏は佐賀県5医療圏のなかで構成が3市町以上あり、かつ薬局8軒未満の市町がひとつも無い唯一の圏域で、どの市町の1軒あたりの数字も分母が二桁以上あります(最小は吉野ヶ里町の9軒)。ただし佐賀市が圏内の74.6%を占めるので、圏の平均は実質この市の数字に近くなる点にご注意ください。

多久市
-20.3%
神埼市
-7.5%
──── ここから需要が増える地域────
小城市
-2.5%
吉野ヶ里町
+2.2%
佐賀市
+3.4%

くわしい数字5市町データ一覧

市区町村薬局高齢率
2025
1軒あたり処方せん
2025 → 2045
変化
佐賀市17330.1%11,464 → 11,858+3.4%
小城市2331.2%16,725 → 16,315-2.5%
神埼市1733.7%17,135 → 15,853-7.5%
多久市1039.8%19,437 → 15,485-20.3%
吉野ヶ里町926.2%13,549 → 13,852+2.2%

※処方せん需要は中部医療圏全体の実績(NDB 2023年・院外のみ)を市町の高齢人口で按分した推計です。かかりつけ・地域連携・在宅の届出率は、佐賀県では元データが未取込のため掲載していません。(→ この波で、厚生局の施設基準届出受理医療機関名簿で数え直した届出率をこのページに載せました。GMISの自己申告からは算出できないという直前の説明は、GMISについてはいまも有効です。)閉局は件数が少ないため市町どうしの比較には使えません。個店のランキングは作りません。

この地図の使い方(3段階のドリルダウン)

  • 佐賀県(ひとつ上・Lv1)=5つの二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
  • 中部医療圏(このページ・Lv2)=5市町で「同じ圏域の中の差」を見る。
  • 市町(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。

中部医療圏 5市区町村すべての詳細レポート(薬局持久度レポート会員向け・有料)

医療圏の型 ── 競争で減るのか、需要で減るのかこの圏は郊外型(需要減)です

薬局が閉じていく筋道には、大きく2つあります。ひとつは近くに薬局が多く、競争のなかで数が絞られていく道(都市型)。もうひとつは周りに薬局が少ないまま、患者そのものが減っていく道(郊外型)。中部医療圏にいまある232軒それぞれについて、どちらの効き方が強いかを計算し、閉局の起こりやすさで重みづけて足し上げると、競争側の比率は0.44です(0.5以上なら都市型、それ未満なら郊外型)。この地域は郊外型(需要減)にあたります。需要の側は、この地域の総人口が2025→2045で-13.5%です。全国47都道府県・335の二次医療圏・65,634行(うち移転や承継を除いた本当の閉局3,952件)を学習した統計モデルによる分類です。特定の地方だけで学んだモデルを他の県に当てはめたものではありません。共通の係数は47都道府県すべての実データから学習しており、この地域の値は、この地域に実際にある薬局の実測値から計算しています。名簿の欠号が27%あります。閉局の件数は下限値(実際はこれ以上)として扱ってください。この分類は「どの筋道で薬局が減りやすい地域か」を示すもので、個々の薬局の見通しではありませんし、出店や撤退の判断もしません。

機能の届出 ── 厚生局の名簿で数える地域支援・医薬品供給対応体制加算の届出は92.6%です

薬局の機能は、これまで薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告で数えていましたが、ここからは地方厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」で数え直しています。中部医療圏でこの名簿に載っている保険薬局は230軒で、そのうち届出があるのは──地域支援・医薬品供給対応体制加算 213軒=92.6%、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)(推定) 158軒=68.7%、在宅薬学総合体制加算 102軒=44.3%、電子的調剤情報連携体制整備加算(推定) 195軒=84.8%です。名簿の版は令和8年7月1日版(東北厚生局=青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島の6県のみ令和8年6月1日版。7月分が未公開のため入手可能な最新を使用)。8つの厚生局・47都道府県をすべて同じ月の版でそろえてあるので、県どうしを並べて比べられます(GMISの自己申告は県によって取り込みの穴があり、これができませんでした)。推定を含む項目があります。「かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)」は令和8年度改定でかかりつけ薬剤師指導料・包括管理料は服薬管理指導料に統合され、単独の届出名称が無くなりました。新様式の名簿にある「服薬管理指導料の注1」を代理指標として数えた推定値です(告示・通知文の逐語確認はしていません)。「電子的調剤情報連携体制整備加算」は令和8年度改定で「医療DX推進体制整備加算」の後継と判断して数えた推定値です(同一制度の後継という対応関係は未確認)。分母は名簿に載っている薬局の数で、このページの他の場所に出てくるGMIS由来の薬局数とは出典が違うため一致しません。また届出は「その体制をとると届け出た」という記録で、実際に提供された量ではありません。

このレポートの範囲と、正直な限界

  • 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市町)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
  • 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
  • 【処方せんの推計方法】中部医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間2,975,630枚)を、市町ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市町別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。またNDBの院外処方せん枚数は、処方せんを発行した医療機関の所在地で数えたものです。
  • 【処方せんは院外だけの数字】中部医療圏の医薬分業率は89.8%で、院内で調剤されている年間337,202枚は含まれていません。
  • 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(佐賀県=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に103.3)。たとえば佐賀市の+3.4%は圏内での相対値で、65歳以上人口そのものの変化は+6.8%です。
  • 【薬局数は2025年で固定】市町別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
  • 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
  • 【閉局の数え方と集計期間】九州厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています。既定の集計期間は2025年5月〜2026年4月(直近12ヶ月)で、中部医療圏の廃止届は8件(うち移転・承継5件、真の閉局3件)。承継の議論には5年窓(2021年5月〜2026年4月(5年・60ヶ月)・廃止届47件・真の閉局13件)を使っています。**5年ぶんの値を他県・他圏域の単年値と並べないでください。**
  • ★【5年窓の件数は「下限」です】九州厚生局の廃止名簿を『号』の単位まで復元したところ、2024-02・2024-03・2024-05・2024-06・2024-08の5号が欠落していました。廃止届は廃止日の1〜3ヶ月後の号に分かれて載るため、2023-12〜2024-07の8ヶ月ぶんは拾いきれていません。中部医療圏の5年窓(廃止届47件・真の閉局13件・承継されなかった割合27.7%)は**下限として読んでください。** **既定の12ヶ月窓(2025年5月〜2026年4月(直近12ヶ月))はこの穴の外にあり、影響を受けません。** (この欠号は大分県の分析係が2026年7月28日に発見したもので、九州8県に共通します。)
  • 【市町ごとの閉局率は出していません】直近12ヶ月の真の閉局は佐賀県全体で9件、この圏域で3件です。5市町に割ると1件動くだけで順位が入れ替わるため、市町ごとの閉局率・承継率は本文で比較していません(データとしては保持しています)。
  • 【★閉局の数字は県をまたいで比べられない場合がある】保険薬局の廃止情報は厚生局ごとに名簿の作られ方が違い、拾えている件数(捕捉率)に差があります。佐賀県の閉局率は、同じ九州厚生局の8県の中でだけ位置づけてください。
  • 【機能の届出率】厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」(8厚生局・47都道府県を同じ月の版でそろえたもの)で数え直し、掲載に切り替えました。分母は名簿に載る230軒で、地域支援・医薬品供給対応体制加算92.6%/かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)(推定)68.7%/在宅薬学総合体制加算44.3%/電子的調剤情報連携体制整備加算(推定)84.8%です。かかりつけ薬剤師と電子的調剤情報連携体制の2項目は、令和8年度改定で届出名称が変わったため代理指標を用いた推定です(本文に明記)。届出は「その体制をとると届け出た」記録で、提供実績ではありません。
  • 【徒歩圏カバー率も掲載していません】250mメッシュ人口が佐賀県分未投入のためです。代わりに面積(薬局1軒あたりkm²)を載せていますが、道路・公共交通・標高・無人の山林を区別しない幾何の指標で、徒歩アクセスの代用にはなりません。
  • 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出上の市区町村コードで割り当てています(中部医療圏の232軒すべてに市区町村コードがあり、未割当0件)。
  • 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。5年刻みなので「2025年ピーク」は起点年=すでに減少局面、という意味です。
  • 【小さすぎる分母】中部医療圏には薬局8軒未満の市町はありません(最小は吉野ヶ里町の9軒)。佐賀県全体では6市町が8軒未満で、それらは他の医療圏にあります。
  • 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計は、いまも出していません(参入と退出の数え方がそろわず、そのまま回すと全国で薬局が2割以上増える計算になってしまうため)。医療圏の「都市型/郊外型」分類は、供給の統計モデルが47都道府県フル学習になったので掲載に切り替えました。

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中部医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)

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似ている地域

全国335の二次医療圏から、人口規模・高齢化率・薬局の薄さ・医薬分業率で似ている圏を、同じ県を除いて探しました(この圏は基準に合う候補が少なく、5圏に満たない場合があります)。

病院側

中部の病院に、薬剤師はいるか

ここまでは薬局の話です。同じ圏域の病院側を、公表データから測りました。 退院した患者を受けとめる側と、送り出す側は地続きです。

病院
36うち200床以上 5
薬剤管理指導料の届出
58.3%全国 65.8%
100床あたり常勤薬剤師
4.2全国 4.76人
病棟薬剤業務実施加算
22.2%全国 27.8%

入院した患者に薬剤師が関わる基本の体制が薬剤管理指導料です。この圏域は全国より低い。 病棟に薬剤師を置く病棟薬剤業務実施加算まで届けている病院は22.2%(全国27.8%)です。都道府県と協力して自院の薬剤師を薬剤師不足地域の医療機関へ出向させている病院(薬剤業務向上加算)は、この圏域にはありません。全国でも68病院にとどまります。

通院で抗がん剤治療を行う体制(外来腫瘍化学療法診療料)を届け出ている病院は6件。 そのうち、治療計画を地域の薬局と共有して薬局側でも副作用を確認できるようにする体制 (連携充実加算)まで届け出ている病院は2件(33.3%)です(全国50.5%)。

届出=地方厚生局「届出受理医療機関名簿(医科)」令和8年8月1日現在(関東信越・東北は同7月1日現在)。 病院=病床20以上の医科医療機関。薬剤師数=厚生労働省「令和7年度 病床機能報告」施設票、 令和7年7月1日時点の常勤の実人数。この2つは基準日が1年ずれています。病床機能報告は一般病床または療養病床を持つ病院が対象で、精神病床だけの病院は載りません (この圏域では36件のうち24件が薬剤師数の分母)。 届出があること=算定していること、ではありません。 外来化学療法の内訳は、その届出が3件未満の圏域では伏せています(1〜2件で「連携0件」と書くと 特定の病院を指すことになるため)。個別の病院名は出していません。

お仕事のご依頼

自治体・薬剤師会・研究者の方へ。この地域のより詳しい分析や、地域医療構想調整会議・研修でそのまま使える資料の作成を承ります(圏域ブリーフ ¥100,000〜)。個店のランキングや出店指南は行いません。

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