滋賀県 › 湖南(二次医療圏)
CrossHealth / 薬局持久度レポート
全部増える圏域。それでも、市によって30ポイント違う
湖南医療圏4市の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。
この記事の数字について:出所は公開データ(厚生局・薬局機能情報提供制度=GMIS・NDBオープンデータ・社会保障人口問題研究所の将来推計人口など)。分析期間は上の「対象・期間」のとおりで、将来値は推計であり幅があります。検算のやり方と不確実性の扱いは方法論のページ →で説明しています。
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湖南医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)
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湖南医療圏(草津市・守山市・栗東市・野洲市)は、薬局184軒と滋賀県で最も薬局の多い圏域です。65歳以上人口は2045年までに+34.5%増え、これは県内7医療圏で最大。4市とも65歳以上人口は増え、ピークを過ぎた市はひとつもありません。それでも、市ごとの増え方には30.3ポイントの開きがあります。
湖南医療圏は、滋賀県でいちばん若い圏域です。65歳以上人口の伸びで滋賀県19市町を並べると、上位3つ(栗東市・守山市・草津市)はすべてこの圏内にあります。高齢化率が県内で最も低いのも栗東市(19.9%)で、やはりこの圏内です。経営体力(薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化・圏内での相対値)を見ると、いちばん伸びるのが栗東市(+7.4%)、いちばん沈むのが野洲市(-15.0%)で、その差は22.4ポイント。ただし野洲市も65歳以上人口そのものは+14.3%増えます。圏内で相対的に沈むだけで、絶対量が減るわけではありません(この圏に65歳以上人口が減る市はありません)。面白いのは現在の水準です。いま1軒あたりの処方せんがいちばん少ないのは栗東市(8,792枚・滋賀県19市町でも最少)で、いちばん多いのが野洲市(14,536枚)。いま最も薄い市がいちばん速く厚くなり、いま最も厚い市が薄くなる方向にあります。つまりこの圏域で起きているのは縮小ではなく、圏内の重心の移動です。機能の届出では、かかりつけ薬剤師指導料の届出率が66.7%で県平均(65.7%)をわずかに上回り、7医療圏で4位。在宅患者訪問薬剤管理指導は52.9%で2位です。閉局については、この12ヶ月に出た廃止届7件(東近江と並んで県内最多)のうち5件は移転・承継で事業が続き、そのまま消えたのは2軒でした。ただし2件という数は、市ごとの比較に耐える量ではありません。閉局は圏の合計としてだけお読みください。
地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市ごとの将来
色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん緑なのが栗東市(+7.4%)、いちばん赤いのが野洲市(-15.0%)で、同じ湖南医療圏の中に22.4ポイントの開きがあります。この色は圏内での相対値である点にご注意ください。圏全体では処方せん需要は+34.5%増える推計で、赤い市も絶対量では減りません。
人口動態 ── 需要の源湖南医療圏は「人はほぼ減らず、お年寄りが大きく増える」
なぜ市で明暗が分かれるのか。もとをたどると人口の動きです。湖南医療圏全体では、総人口は35.3万→34.8万人(-1.6%)とほとんど減らず、65歳以上は8.0万→10.7万人(+34.5%)と大きく増えます。高齢化率は22.6%→30.9%へ。65歳以上のピークは2050年——推計期間の最後の年で、つまり2050年になってもまだ増え続けている計算です。圏内4市のうち3市がこの「2050年もまだ増える」側にいます。65歳以上人口が2045年までに減る市は0、すでにピークを過ぎた市も0です。滋賀県全体では7医療圏のうち1圏(湖西)がすでにピークを過ぎており、同じ県の中で25年ぶんの時間差があります。
地域の差 ── 市の差需要が増える市・相対的に減る市
野洲市(-15.0%)から栗東市(+7.4%)まで22.4ポイントの開き。マイナスは1市だけで、残る3市はプラスです。この圏域は4市とも薬局が26軒以上あり、滋賀県で唯一「小さすぎる分母」を含まない多市圏域です(県内には薬局1軒の町もあり、そこでは1軒あたりの数値が意味を持ちません)。
くわしい数字4市データ一覧
| 市区町村 | 薬局 | 高齢率 2025 | 1軒あたり処方せん 2025 → 2045 | 変化 |
|---|---|---|---|---|
| 草津市 | 70 | 22.2% | 13,109 → 13,303 | +1.5% |
| 守山市 | 44 | 22.8% | 12,327 → 12,654 | +2.7% |
| 栗東市 | 44 | 19.9% | 8,792 → 9,446 | +7.4% |
| 野洲市 | 26 | 27.1% | 14,536 → 12,353 | -15.0% |
※処方せん需要は湖南医療圏全体の実績(NDB)を市の高齢人口で按分した推計です。閉局は圏の合計としてのみお読みください(市別は件数が少なすぎます)。個店のランキングは作りません。
この地図の使い方(3段階のドリルダウン)
- 滋賀県(ひとつ上・Lv1)=7つの二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
- 湖南医療圏(このページ・Lv2)=4市で「同じ圏域の中の差」を見る。
- 市(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。
医療圏の型 ── 競争で減るのか、需要で減るのかこの圏は都市型(競争淘汰)です
薬局が閉じていく筋道には、大きく2つあります。ひとつは近くに薬局が多く、競争のなかで数が絞られていく道(都市型)。もうひとつは周りに薬局が少ないまま、患者そのものが減っていく道(郊外型)。湖南医療圏にいまある184軒それぞれについて、どちらの効き方が強いかを計算し、閉局の起こりやすさで重みづけて足し上げると、競争側の比率は0.59です(0.5以上なら都市型、それ未満なら郊外型)。この地域は都市型(競争淘汰)にあたります。需要の側は、この地域の総人口が2025→2045で-1.6%です。全国47都道府県・335の二次医療圏・65,634行(うち移転や承継を除いた本当の閉局3,952件)を学習した統計モデルによる分類です。特定の地方だけで学んだモデルを他の県に当てはめたものではありません。共通の係数は47都道府県すべての実データから学習しており、この地域の値は、この地域に実際にある薬局の実測値から計算しています。名簿の欠号が20%あります。閉局の件数は下限値(実際はこれ以上)として扱ってください。この分類は「どの筋道で薬局が減りやすい地域か」を示すもので、個々の薬局の見通しではありませんし、出店や撤退の判断もしません。
機能の届出 ── 厚生局の名簿で数える地域支援・医薬品供給対応体制加算の届出は94.7%です
薬局の機能は、これまで薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告で数えていましたが、ここからは地方厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」で数え直しています。湖南医療圏でこの名簿に載っている保険薬局は171軒で、そのうち届出があるのは──地域支援・医薬品供給対応体制加算 162軒=94.7%、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)(推定) 117軒=68.4%、在宅薬学総合体制加算 77軒=45.0%、電子的調剤情報連携体制整備加算(推定) 156軒=91.2%です。名簿の版は令和8年7月1日版(東北厚生局=青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島の6県のみ令和8年6月1日版。7月分が未公開のため入手可能な最新を使用)。8つの厚生局・47都道府県をすべて同じ月の版でそろえてあるので、県どうしを並べて比べられます(GMISの自己申告は県によって取り込みの穴があり、これができませんでした)。推定を含む項目があります。「かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)」は令和8年度改定でかかりつけ薬剤師指導料・包括管理料は服薬管理指導料に統合され、単独の届出名称が無くなりました。新様式の名簿にある「服薬管理指導料の注1」を代理指標として数えた推定値です(告示・通知文の逐語確認はしていません)。「電子的調剤情報連携体制整備加算」は令和8年度改定で「医療DX推進体制整備加算」の後継と判断して数えた推定値です(同一制度の後継という対応関係は未確認)。このページがこれまで載せていた届出率は、改定前の版の名簿を店名で突き合わせて数えたものでした。並べると、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)は今回68.4%/これまで66.7%(差+1.7ポイント)、地域支援・医薬品供給対応体制加算は今回94.7%/これまで46.0%(差+48.7ポイント)、在宅薬学総合体制加算は今回45.0%/これまで52.9%(差-7.9ポイント)です。差の主な理由は3つで、(1)令和8年度改定で後発医薬品調剤体制加算が地域支援・医薬品供給対応体制加算に統合されたこと(地域支援の届出率が跳ね上がる)、(2)かかりつけ薬剤師指導料が服薬管理指導料に統合され、代理指標に切り替えたこと、(3)これまでが店名の突き合わせ、今回が医療機関コードでの集計であること。どちらかが誤りという意味ではありません。これから先は、47都道府県を同じ月の版でそろえた今回の数え方を主に使います。分母は名簿に載っている薬局の数で、このページの他の場所に出てくるGMIS由来の薬局数とは出典が違うため一致しません。また届出は「その体制をとると届け出た」という記録で、実際に提供された量ではありません。
このレポートの範囲と、正直な限界
- 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市区町村)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
- 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
- 【処方せんの推計方法】湖南医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間2,224,787枚)を、市ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。
- 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。マイナスでも、その市の処方せんが絶対量で減るという意味ではありません。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(滋賀県=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に134.5)。
- 【薬局数は2025年で固定】市別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
- 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
- 【閉局の数え方と集計期間】近畿厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています(湖南医療圏で2件)。廃止届は全部で7件出ていますが、そのうち5件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだ=その場所から薬局が消えてはいない、と読めます(内訳は clo_gross / clo_relo として別に保持)。滋賀県の廃止名簿は2025年7月号からの収録のため、集計期間は暦年ではなく完全な12ヶ月がそろう2025年5月〜2026年4月(12ヶ月)としています。大阪府・千葉県の公開値(暦年2025)と件数を直接並べることはできません。
- 【閉局は市別に読まないでください】この圏域の真の閉局2件は滋賀県全体でも12件しかない事象の一部です。市ごとに割ると0〜2件となり、1件の増減で率が数ポイント動きます。市別の閉局数はJSONには入れていますが、市どうしの順位づけや「この市は閉局が多い」という読み方には使えません。
- 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出上の市区町村コードで割り当てています。
- 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づき、申告データのある174店を分母にしています(圏内全184店のうち)。届出=実際の提供実績ではありません。
- 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。
- 【名前が似ている単位】このページの「湖南医療圏」は草津市・守山市・栗東市・野洲市の4市を指します。「湖南市」という市もありますが、そちらは甲賀医療圏に属し、この圏域には含まれません。
- 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計は、いまも出していません(参入と退出の数え方がそろわず、そのまま回すと全国で薬局が2割以上増える計算になってしまうため)。医療圏の「都市型/郊外型」分類は、供給の統計モデルが47都道府県フル学習になったので掲載に切り替えました。
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湖南医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)
薬局の分布と、同じ医療圏の市区町村どうしの落差を1冊にまとめました。出典と作成時点を入れてあるので、そのまま社内やご相談の資料にお使いいただけます。受け取る地域をお選びください。
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似ている地域
類似圏は見つかりませんでした。同一県を除いた全国330圏あまりの中に、5軸すべてが許容幅(ロバストz 0.75以内)に収まる圏がありません。この圏は全国的に特異です(無理に近い圏を当てはめない方針)。
もっとも近かったのは群馬県伊勢崎ですが、「医薬分業率」が基準を超えました。
病院側
湖南の病院に、薬剤師はいるか
ここまでは薬局の話です。同じ圏域の病院側を、公表データから測りました。 退院した患者を受けとめる側と、送り出す側は地続きです。
- 病院
- 13件うち200床以上 3
- 薬剤管理指導料の届出
- 84.6%全国 65.8%
- 100床あたり常勤薬剤師
- 4.92人全国 4.76人
- 病棟薬剤業務実施加算
- 38.5%全国 27.8%
入院した患者に薬剤師が関わる基本の体制が薬剤管理指導料です。この圏域は全国より高い。 病棟に薬剤師を置く病棟薬剤業務実施加算まで届けている病院は38.5%(全国27.8%)です。都道府県と協力して自院の薬剤師を薬剤師不足地域の医療機関へ出向させている病院(薬剤業務向上加算)は、この圏域にはありません。全国でも68病院にとどまります。
通院で抗がん剤治療を行う体制(外来腫瘍化学療法診療料)を届け出ている病院は5件。 そのうち、治療計画を地域の薬局と共有して薬局側でも副作用を確認できるようにする体制 (連携充実加算)まで届け出ている病院は4件(80%)です(全国50.5%)。
届出=地方厚生局「届出受理医療機関名簿(医科)」令和8年8月1日現在(関東信越・東北は同7月1日現在)。 病院=病床20以上の医科医療機関。薬剤師数=厚生労働省「令和7年度 病床機能報告」施設票、 令和7年7月1日時点の常勤の実人数。この2つは基準日が1年ずれています。病床機能報告は一般病床または療養病床を持つ病院が対象で、精神病床だけの病院は載りません (この圏域では13件のうち10件が薬剤師数の分母)。 届出があること=算定していること、ではありません。 外来化学療法の内訳は、その届出が3件未満の圏域では伏せています(1〜2件で「連携0件」と書くと 特定の病院を指すことになるため)。個別の病院名は出していません。
お仕事のご依頼
自治体・薬剤師会・研究者の方へ。この地域のより詳しい分析や、地域医療構想調整会議・研修でそのまま使える資料の作成を承ります(圏域ブリーフ ¥100,000〜)。個店のランキングや出店指南は行いません。
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