大阪府堺市(二次医療圏)

CrossHealth / 薬局持久度レポート

政令市ひとつで1医療圏、明暗はニュータウンで分かれる

堺市医療圏7区の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。

対象 堺市医療圏 7市区町村期間 2025年 → 2045年概要版・無料

この記事の数字について:出所は公開データ(厚生局・薬局機能情報提供制度=GMIS・NDBオープンデータ・社会保障人口問題研究所の将来推計人口など)。分析期間は上の「対象・期間」のとおりで、将来値は推計であり幅があります。検算のやり方と不確実性の扱いは方法論のページ →で説明しています。

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堺市医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)

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堺市は市そのものが1つの二次医療圏です。大阪市と同じく区で切り分けて見ると、明暗の軸は都心と郊外ではなくニュータウンの世代交代でした。南区(泉北ニュータウン)が-15.1%、北区が+11.2%。同じ市の中で26ポイントの開きがあります。堺市南区をクリックすると、区界・薬局分布・徒歩アクセスまで踏み込んだ詳細レポートへ進みます。

7
堺市医療圏の市区町村
420
圏内の薬局数
12
直近12か月に閉じた薬局(承継・移転を除く)
-15〜+11%
経営体力の変化レンジ(市区町村差)

堺市医療圏は、政令指定都市がそのまま1つの二次医療圏になっている圏域です。薬局420軒。直近12か月(2025年7月〜2026年6月)の廃止届25件のうち13件は承継・移転で引き継がれ、そのまま消えたのは12軒でした。区で分けると、はっきりした軸が1本あらわれます。1960年代後半から入居が始まった泉北ニュータウンを抱える南区は、高齢化率がすでに37.5%、2045年には48.8%。総人口は-30%、65歳以上人口も-10%と減り、経営体力は-15.1%で市内最低です。入居世代が同時に高齢化し、同時に減っていく——ニュータウンに特有の形です。対照的に北区・西区は65歳以上が+18%・+14%と増え、体力も+11.2%・+7.2%とプラスです。また南区のかかりつけ薬剤師届出率は64.6%で、市内7区のうち最も低い水準にあります(市全体では75.9%)。需要が細る見込みの区で、機能面の届出も薄い。この重なりが、堺市医療圏でいちばん注意して見るべきところです。

地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市区町村ごとの将来

色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが南区(-15.1%)、いちばん緑なのが北区(+11.2%)で、同じ堺市医療圏の中に26ポイントの開きがあります。

人口動態 ── 需要の源堺市医療圏は「人が減り、お年寄りが増える」

なぜ市区町村で明暗が分かれるのか。もとをたどると人口の動きです。堺市医療圏全体では、総人口は79.5万→68.2万人(-14%)と減り、65歳以上は23.8万→25.3万人(+6%)と増えます。高齢化率は29.9%→37.1%へ。65歳以上のピークは2040年で、その波がいつ来るかが市区町村で違うのです。

総人口65歳以上
0万20万40万60万80万20252030203520402045205065万25万
実データ(社人研 将来推計人口・2023年推計)。総人口は2025年から2050年まで一貫して減り、65歳以上は2040年にピークを迎えます。

地域の差 ── 市区町村差需要が減る区・増える区

南から北へ、ほぼきれいに並びます。南区・美原区・東区が減る側、北区・西区が増える側です。

南区
-15.1%
美原区
-6.5%
東区
-5.2%
──── ここから需要が増える地域────
中区
+4.5%
西区
+7.2%
北区
+11.2%

くわしい数字7市区町村データ一覧

市区町村薬局高齢率
2025
1軒あたり処方せん
2025 → 2045
変化
堺区9528.0%9,097 → 9,243+1.6%
北区8225.7%10,295 → 11,447+11.2%
西区7828.3%9,994 → 10,716+7.2%
中区6329.5%11,358 → 11,865+4.5%
南区5137.5%19,788 → 16,802-15.1%
東区3731.2%14,868 → 14,099-5.2%
美原区1432.4%17,594 → 16,459-6.5%

※処方せん需要は堺市医療圏全体の実績(NDB)を市区町村の高齢人口で按分した推計です。個店のランキングは作りません。

この地図の使い方(3段階のドリルダウン)

  • 大阪府(ひとつ上・Lv1)=8つの二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
  • 堺市医療圏(このページ・Lv2)=7市区町村で「同じ圏域の中の差」を見る。
  • 堺市南区(詳細・有料)=区界・薬局分布・徒歩アクセス・経営2シナリオまで。薬局持久度レポート会員向け。

堺市医療圏 7市区町村すべての詳細レポート(薬局持久度レポート会員向け・有料)

医療圏の型 ── 競争で減るのか、需要で減るのかこの圏は都市型(競争淘汰)です

薬局が閉じていく筋道には、大きく2つあります。ひとつは近くに薬局が多く、競争のなかで数が絞られていく道(都市型)。もうひとつは周りに薬局が少ないまま、患者そのものが減っていく道(郊外型)。堺市医療圏にいまある420軒それぞれについて、どちらの効き方が強いかを計算し、閉局の起こりやすさで重みづけて足し上げると、競争側の比率は0.80です(0.5以上なら都市型、それ未満なら郊外型)。この地域は都市型(競争淘汰)にあたります。需要の側は、この地域の総人口が2025→2045で-14.3%です。全国47都道府県・335の二次医療圏・65,634行(うち移転や承継を除いた本当の閉局3,952件)を学習した統計モデルによる分類です。特定の地方だけで学んだモデルを他の県に当てはめたものではありません。共通の係数は47都道府県すべての実データから学習しており、この地域の値は、この地域に実際にある薬局の実測値から計算しています。この分類は「どの筋道で薬局が減りやすい地域か」を示すもので、個々の薬局の見通しではありませんし、出店や撤退の判断もしません。

機能の届出 ── 厚生局の名簿で数える地域支援・医薬品供給対応体制加算の届出は90.8%です

薬局の機能は、これまで薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告で数えていましたが、ここからは地方厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」で数え直しています。堺市医療圏でこの名簿に載っている保険薬局は415軒で、そのうち届出があるのは──地域支援・医薬品供給対応体制加算 377軒=90.8%、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)(推定) 259軒=62.4%、在宅薬学総合体制加算 215軒=51.8%、電子的調剤情報連携体制整備加算(推定) 326軒=78.6%です。名簿の版は令和8年7月1日版(東北厚生局=青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島の6県のみ令和8年6月1日版。7月分が未公開のため入手可能な最新を使用)。8つの厚生局・47都道府県をすべて同じ月の版でそろえてあるので、県どうしを並べて比べられます(GMISの自己申告は県によって取り込みの穴があり、これができませんでした)。推定を含む項目があります。「かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)」は令和8年度改定でかかりつけ薬剤師指導料・包括管理料は服薬管理指導料に統合され、単独の届出名称が無くなりました。新様式の名簿にある「服薬管理指導料の注1」を代理指標として数えた推定値です(告示・通知文の逐語確認はしていません)。「電子的調剤情報連携体制整備加算」は令和8年度改定で「医療DX推進体制整備加算」の後継と判断して数えた推定値です(同一制度の後継という対応関係は未確認)。このページがこれまで載せていた届出率は、改定前の版の名簿を店名で突き合わせて数えたものでした。並べると、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)は今回62.4%/これまで75.9%(差-13.5ポイント)、地域支援・医薬品供給対応体制加算は今回90.8%/これまで61.1%(差+29.7ポイント)、在宅薬学総合体制加算は今回51.8%/これまで70.3%(差-18.5ポイント)です。差の主な理由は3つで、(1)令和8年度改定で後発医薬品調剤体制加算が地域支援・医薬品供給対応体制加算に統合されたこと(地域支援の届出率が跳ね上がる)、(2)かかりつけ薬剤師指導料が服薬管理指導料に統合され、代理指標に切り替えたこと、(3)これまでが店名の突き合わせ、今回が医療機関コードでの集計であること。どちらかが誤りという意味ではありません。これから先は、47都道府県を同じ月の版でそろえた今回の数え方を主に使います。分母は名簿に載っている薬局の数で、このページの他の場所に出てくるGMIS由来の薬局数とは出典が違うため一致しません。また届出は「その体制をとると届け出た」という記録で、実際に提供された量ではありません。

このレポートの範囲と、正直な限界

  • 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市区町村)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
  • 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は潰れる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
  • 【処方せんの推計方法】堺市医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間5,009,128枚)を、市区町村ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市区町村別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。
  • 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(大阪府=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に106.5)。
  • 【薬局数は2025年で固定】市区町村別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は、Lv1の供給動学モデルでのみ扱っています。
  • 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
  • 【閉局の数え方】近畿厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています(堺市医療圏の直近12か月・2025年7月〜2026年6月で12件)。廃止届は全部で25件出ていますが、そのうち13件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだ=その場所から薬局が消えてはいない、と読めます。「薬局が無くなったか」を問うレポートなので、承継・移転は閉局に数えません(内訳は clo_gross / clo_relo として別に保持)。2026年分は本稿執筆時点でまだ年の途中のため、参考値(真の閉局7件)として別に持っています。
  • 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出住所または座標に基づき、市区町村境界の点内判定で割り当てています。
  • 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づき、申告データのある370店を分母にしています(圏内全420店のうち)。届出=実際の提供実績ではありません。
  • 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。

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堺市医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)

薬局の分布と、同じ医療圏の市区町村どうしの落差を1冊にまとめました。出典と作成時点を入れてあるので、そのまま社内やご相談の資料にお使いいただけます。受け取る地域をお選びください。

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似ている地域

全国335の二次医療圏から、人口規模・高齢化率・薬局の薄さ・医薬分業率で似ている圏を、同じ県を除いて探しました(この圏は基準に合う候補が少なく、5圏に満たない場合があります)。

病院側

堺市の病院に、薬剤師はいるか

ここまでは薬局の話です。同じ圏域の病院側を、公表データから測りました。 退院した患者を受けとめる側と、送り出す側は地続きです。

病院
43うち200床以上 18
薬剤管理指導料の届出
93%全国 65.8%
100床あたり常勤薬剤師
4.16全国 4.76人
病棟薬剤業務実施加算
41.9%全国 27.8%

入院した患者に薬剤師が関わる基本の体制が薬剤管理指導料です。この圏域は全国より高い。 病棟に薬剤師を置く病棟薬剤業務実施加算まで届けている病院は41.9%(全国27.8%)です。都道府県と協力して自院の薬剤師を薬剤師不足地域の医療機関へ出向させている病院(薬剤業務向上加算)は、この圏域にはありません。全国でも68病院にとどまります。

通院で抗がん剤治療を行う体制(外来腫瘍化学療法診療料)を届け出ている病院は12件。 そのうち、治療計画を地域の薬局と共有して薬局側でも副作用を確認できるようにする体制 (連携充実加算)まで届け出ている病院は7件(58.3%)です(全国50.5%)。

届出=地方厚生局「届出受理医療機関名簿(医科)」令和8年8月1日現在(関東信越・東北は同7月1日現在)。 病院=病床20以上の医科医療機関。薬剤師数=厚生労働省「令和7年度 病床機能報告」施設票、 令和7年7月1日時点の常勤の実人数。この2つは基準日が1年ずれています。病床機能報告は一般病床または療養病床を持つ病院が対象で、精神病床だけの病院は載りません (この圏域では43件のうち32件が薬剤師数の分母)。 届出があること=算定していること、ではありません。 外来化学療法の内訳は、その届出が3件未満の圏域では伏せています(1〜2件で「連携0件」と書くと 特定の病院を指すことになるため)。個別の病院名は出していません。

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自治体・薬剤師会・研究者の方へ。この地域のより詳しい分析や、地域医療構想調整会議・研修でそのまま使える資料の作成を承ります(圏域ブリーフ ¥100,000〜)。個店のランキングや出店指南は行いません。

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