大阪府 › 泉州(二次医療圏)
CrossHealth / 薬局持久度レポート
府の南端の2市町だけが、別の時間を生きている
泉州医療圏12市町の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。
この記事の数字について:出所は公開データ(厚生局・薬局機能情報提供制度=GMIS・NDBオープンデータ・社会保障人口問題研究所の将来推計人口など)。分析期間は上の「対象・期間」のとおりで、将来値は推計であり幅があります。検算のやり方と不確実性の扱いは方法論のページ →で説明しています。
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泉州医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)
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泉州医療圏は12の市町からなる、大阪府でもっとも自治体数の多い圏域です。そして10市町がおおむね横ばい圏に収まるなか、最南の岬町(-25.5%)と阪南市(-11.8%)だけが大きく沈みます。直近12か月(2025年7月〜2026年6月)に承継も移転もされず消えた薬局は16軒(3.75%)で、府内でもっとも高い比率です。
泉州医療圏は大阪府の南西部、12市町からなります。自治体の数が多いぶん、圏内の姿は一様ではありません。ただしその内訳は「北から南へなだらかに」ではなく、府の最南端2市町だけが極端に離れている形をしています。最南の岬町は高齢化率が現時点で43.6%、2045年には57.3%——住民の6割近くが65歳以上になります。65歳以上人口自体も-18%と減り、経営体力は-25.5%。薬局は5軒しかなく、1軒の開廃がそのまま地域のアクセスを左右する規模です。隣接する阪南市も高齢化率36.5%→50.7%、経営体力-11.8%、薬局25軒。岬町のいまの高齢化率43.6%は、阪南市を除く圏内すべての市町の2045年の高齢化率を上回ります。この2市町だけが、先に到着してしまっているのです。それ以外の市町は、田尻町・和泉市・泉佐野市・泉大津市が65歳以上人口の伸びを受けてプラス、岸和田市・貝塚市・忠岡町がほぼ横ばい、高石市・熊取町・泉南市がゆるやかなマイナスと、地理よりも高齢化がどこまで進んだかで並びます。いっぽう閉局の面では、直近12か月(2025年7月〜2026年6月)に承継も移転もされず消えた薬局が16軒(3.75%)と、府内でもっとも高い比率です。薬局の入れ替わりが多い北側と、需要そのものが細る南端。1つの医療圏の中に性質の違う2つの動きが同居しているのが、泉州医療圏です。
地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市区町村ごとの将来
色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが岬町(-25.5%)、いちばん緑なのが田尻町(+12.4%)で、同じ泉州医療圏の中に38ポイントの開きがあります。
人口動態 ── 需要の源泉州医療圏は「人が減り、お年寄りが増える」
なぜ市区町村で明暗が分かれるのか。もとをたどると人口の動きです。泉州医療圏全体では、総人口は85.3万→69.6万人(-18%)と減り、65歳以上は25.2万→27.7万人(+10%)と増えます。高齢化率は29.6%→39.9%へ。65歳以上のピークは2040年で、その波がいつ来るかが市区町村で違うのです。
地域の差 ── 市区町村差需要が減る市町・増える市町
岬町(-25.5%)から田尻町(+12.4%)まで38ポイントの開き。ただし下位2市町を除くと-7%〜+12%に収まり、「圏内の差」というより「南端2市町の突出」として読むのが正確です。なお岬町・忠岡町・田尻町は薬局が8軒に満たないため、1軒あたりの数値は振れやすい点にご注意ください。
くわしい数字12市区町村データ一覧
| 市区町村 | 薬局 | 高齢率 2025 | 1軒あたり処方せん 2025 → 2045 | 変化 |
|---|---|---|---|---|
| 岸和田市 | 102 | 30.6% | 10,678 → 10,379 | -2.8% |
| 和泉市 | 76 | 27.3% | 12,755 → 13,974 | +9.6% |
| 泉佐野市 | 61 | 27.5% | 8,660 → 9,324 | +7.7% |
| 泉大津市 | 50 | 27.3% | 7,658 → 8,135 | +6.2% |
| 貝塚市 | 33 | 28.9% | 13,796 → 13,717 | -0.6% |
| 高石市 | 30 | 29.8% | 10,380 → 9,657 | -7.0% |
| 阪南市 | 25 | 36.5% | 13,441 → 11,862 | -11.8% |
| 熊取町 | 19 | 30.2% | 13,246 → 12,330 | -6.9% |
| 泉南市 | 16 | 31.9% | 21,934 → 20,664 | -5.8% |
| 忠岡町 | 7 | 29.5% | 13,070 → 12,962 | -0.8% |
| 岬町 | 5 | 43.6% | 22,849 → 17,032 | -25.5% |
| 田尻町 | 3 | 24.2% | 13,244 → 14,882 | +12.4% |
※処方せん需要は泉州医療圏全体の実績(NDB)を市区町村の高齢人口で按分した推計です。個店のランキングは作りません。
この地図の使い方(3段階のドリルダウン)
- 大阪府(ひとつ上・Lv1)=8つの二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
- 泉州医療圏(このページ・Lv2)=12市区町村で「同じ圏域の中の差」を見る。
- 市区町村(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・徒歩アクセス・経営シナリオまで。
医療圏の型 ── 競争で減るのか、需要で減るのかこの圏は都市型(競争淘汰)です
薬局が閉じていく筋道には、大きく2つあります。ひとつは近くに薬局が多く、競争のなかで数が絞られていく道(都市型)。もうひとつは周りに薬局が少ないまま、患者そのものが減っていく道(郊外型)。泉州医療圏にいまある427軒それぞれについて、どちらの効き方が強いかを計算し、閉局の起こりやすさで重みづけて足し上げると、競争側の比率は0.68です(0.5以上なら都市型、それ未満なら郊外型)。この地域は都市型(競争淘汰)にあたります。需要の側は、この地域の総人口が2025→2045で-18.4%です。社人研の推計では、この地域は減り方が急な側(20年で15%超の減少)に入ります。全国47都道府県・335の二次医療圏・65,634行(うち移転や承継を除いた本当の閉局3,952件)を学習した統計モデルによる分類です。特定の地方だけで学んだモデルを他の県に当てはめたものではありません。共通の係数は47都道府県すべての実データから学習しており、この地域の値は、この地域に実際にある薬局の実測値から計算しています。この分類は「どの筋道で薬局が減りやすい地域か」を示すもので、個々の薬局の見通しではありませんし、出店や撤退の判断もしません。
機能の届出 ── 厚生局の名簿で数える地域支援・医薬品供給対応体制加算の届出は90.1%です
薬局の機能は、これまで薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告で数えていましたが、ここからは地方厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」で数え直しています。泉州医療圏でこの名簿に載っている保険薬局は415軒で、そのうち届出があるのは──地域支援・医薬品供給対応体制加算 374軒=90.1%、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)(推定) 272軒=65.5%、在宅薬学総合体制加算 198軒=47.7%、電子的調剤情報連携体制整備加算(推定) 351軒=84.6%です。名簿の版は令和8年7月1日版(東北厚生局=青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島の6県のみ令和8年6月1日版。7月分が未公開のため入手可能な最新を使用)。8つの厚生局・47都道府県をすべて同じ月の版でそろえてあるので、県どうしを並べて比べられます(GMISの自己申告は県によって取り込みの穴があり、これができませんでした)。推定を含む項目があります。「かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)」は令和8年度改定でかかりつけ薬剤師指導料・包括管理料は服薬管理指導料に統合され、単独の届出名称が無くなりました。新様式の名簿にある「服薬管理指導料の注1」を代理指標として数えた推定値です(告示・通知文の逐語確認はしていません)。「電子的調剤情報連携体制整備加算」は令和8年度改定で「医療DX推進体制整備加算」の後継と判断して数えた推定値です(同一制度の後継という対応関係は未確認)。このページがこれまで載せていた届出率は、改定前の版の名簿を店名で突き合わせて数えたものでした。並べると、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)は今回65.5%/これまで76.0%(差-10.5ポイント)、地域支援・医薬品供給対応体制加算は今回90.1%/これまで55.3%(差+34.8ポイント)、在宅薬学総合体制加算は今回47.7%/これまで63.5%(差-15.8ポイント)です。差の主な理由は3つで、(1)令和8年度改定で後発医薬品調剤体制加算が地域支援・医薬品供給対応体制加算に統合されたこと(地域支援の届出率が跳ね上がる)、(2)かかりつけ薬剤師指導料が服薬管理指導料に統合され、代理指標に切り替えたこと、(3)これまでが店名の突き合わせ、今回が医療機関コードでの集計であること。どちらかが誤りという意味ではありません。これから先は、47都道府県を同じ月の版でそろえた今回の数え方を主に使います。分母は名簿に載っている薬局の数で、このページの他の場所に出てくるGMIS由来の薬局数とは出典が違うため一致しません。また届出は「その体制をとると届け出た」という記録で、実際に提供された量ではありません。
このレポートの範囲と、正直な限界
- 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市区町村)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
- 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は潰れる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
- 【処方せんの推計方法】泉州医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間4,920,506枚)を、市区町村ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市区町村別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。
- 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(大阪府=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に110.0)。
- 【薬局数は2025年で固定】市区町村別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は、Lv1の供給動学モデルでのみ扱っています。
- 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
- 【閉局の数え方】近畿厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています(泉州医療圏の直近12か月・2025年7月〜2026年6月で16件)。廃止届は全部で35件出ていますが、そのうち19件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだ=その場所から薬局が消えてはいない、と読めます。「薬局が無くなったか」を問うレポートなので、承継・移転は閉局に数えません(内訳は clo_gross / clo_relo として別に保持)。2026年分は本稿執筆時点でまだ年の途中のため、参考値(真の閉局7件)として別に持っています。
- 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出住所または座標に基づき、市区町村境界の点内判定で割り当てています。
- 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づき、申告データのある367店を分母にしています(圏内全427店のうち)。届出=実際の提供実績ではありません。
- 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。
- 【小さすぎる分母】岬町・忠岡町・田尻町は薬局数が8軒に満たない自治体です。1軒あたりの数値は1店の開廃で大きく振れるため、傾向としてのみお読みください。
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泉州医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)
薬局の分布と、同じ医療圏の市区町村どうしの落差を1冊にまとめました。出典と作成時点を入れてあるので、そのまま社内やご相談の資料にお使いいただけます。受け取る地域をお選びください。
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似ている地域
全国335の二次医療圏から、人口規模・高齢化率・薬局の薄さ・医薬分業率で似ている圏を、同じ県を除いて探しました。
- 愛知県東三河南部 →184km医薬分業率1軒あたり人口人口規模高齢化率1軒あたり面積
- 栃木県宇都宮 →474km1軒あたり人口高齢化率1軒あたり面積医薬分業率人口規模
- 熊本県熊本・上益城 →467km人口規模高齢化率1軒あたり人口
- 京都府京都・乙訓 →74km1軒あたり面積医薬分業率高齢化率1軒あたり人口
- 愛知県尾張東部 →174km1軒あたり面積医薬分業率1軒あたり人口人口規模
病院側
泉州の病院に、薬剤師はいるか
ここまでは薬局の話です。同じ圏域の病院側を、公表データから測りました。 退院した患者を受けとめる側と、送り出す側は地続きです。
- 病院
- 70件うち200床以上 26
- 薬剤管理指導料の届出
- 77.1%全国 65.8%
- 100床あたり常勤薬剤師
- 4.21人全国 4.76人
- 病棟薬剤業務実施加算
- 17.1%全国 27.8%
入院した患者に薬剤師が関わる基本の体制が薬剤管理指導料です。この圏域は全国より高い。 病棟に薬剤師を置く病棟薬剤業務実施加算まで届けている病院は17.1%(全国27.8%)です。都道府県と協力して自院の薬剤師を薬剤師不足地域の医療機関へ出向させている病院(薬剤業務向上加算)は、この圏域にはありません。全国でも68病院にとどまります。
通院で抗がん剤治療を行う体制(外来腫瘍化学療法診療料)を届け出ている病院は13件。 そのうち、治療計画を地域の薬局と共有して薬局側でも副作用を確認できるようにする体制 (連携充実加算)まで届け出ている病院は8件(61.5%)です(全国50.5%)。
届出=地方厚生局「届出受理医療機関名簿(医科)」令和8年8月1日現在(関東信越・東北は同7月1日現在)。 病院=病床20以上の医科医療機関。薬剤師数=厚生労働省「令和7年度 病床機能報告」施設票、 令和7年7月1日時点の常勤の実人数。この2つは基準日が1年ずれています。病床機能報告は一般病床または療養病床を持つ病院が対象で、精神病床だけの病院は載りません (この圏域では70件のうち49件が薬剤師数の分母)。 届出があること=算定していること、ではありません。 外来化学療法の内訳は、その届出が3件未満の圏域では伏せています(1〜2件で「連携0件」と書くと 特定の病院を指すことになるため)。個別の病院名は出していません。
お仕事のご依頼
自治体・薬剤師会・研究者の方へ。この地域のより詳しい分析や、地域医療構想調整会議・研修でそのまま使える資料の作成を承ります(圏域ブリーフ ¥100,000〜)。個店のランキングや出店指南は行いません。
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