埼玉県川越比企(二次医療圏)

CrossHealth / 薬局持久度レポート

人口が増える町と、薬局が1軒もない村が、同じ医療圏にある

川越比企医療圏14市町村の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。

対象 川越比企医療圏 14市町村期間 2025年 → 2045年概要版・無料

この記事の数字について:出所は公開データ(厚生局・薬局機能情報提供制度=GMIS・NDBオープンデータ・社会保障人口問題研究所の将来推計人口など)。分析期間は上の「対象・期間」のとおりで、将来値は推計であり幅があります。検算のやり方と不確実性の扱いは方法論のページ →で説明しています。

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川越比企医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)

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川越比企医療圏は14の市町村からなる、埼玉県でもっとも自治体数の多い圏域です。川越市という161軒(圏内の42.9%)を抱える都市がある一方、東秩父村には薬局が1軒もありません(埼玉県で薬局ゼロの自治体はここだけです)。65歳以上人口の増減で見た圏内の落差は64.3ポイントで、埼玉県の10医療圏どうしの落差(43.3ポイント)よりも大きいのです。

14
川越比企医療圏の市町村
375
圏内の薬局数
6
直近12ヶ月に閉じた薬局(承継・移転を除く)
-27〜+26%
経営体力の変化レンジ(市町差)

川越比企医療圏には、161軒の薬局を持つ川越市から、薬局3軒の町、そして薬局のない東秩父村までが同じ枠に入っています。経営体力(薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化)を見ると、いちばん沈むのが鳩山町(-27.3%)、いちばん伸びるのが滑川町(+26.1%)で、その差は53.4ポイント。薬局のある13市町のうち9市町がマイナス側にいます。人口そのものを見ると差はもっとはっきりしていて、滑川町は2045年までに総人口が+9.4%と増えるいっぽう、東秩父村は総人口-43.9%・65歳以上-29.5%です。東秩父村の高齢化率は現時点で51.5%、2045年には64.7%——住民のおよそ3人に2人が65歳以上になります。圏全体としては需要が+6.9%とわずかに増える計算になりますが、それは川越市が圏の41.8%の高齢人口を抱えているからで、圏の平均は圏内のどの町の実感でもありません。閉局の面では、この12ヶ月に出た廃止届21件のうち15件は移転・承継で事業が続き、そのまま消えたのは6軒(1.6%)でした。消えた6軒は毛呂山町・東松山市・坂戸市・鶴ヶ島市2軒・川越市に散っており、薬局の少ない町では、この12ヶ月に閉じた薬局はありません。機能の届出では、かかりつけ薬剤師指導料の届出率が74.1%と県平均(64.8%)を上回り、10医療圏で1位です。人口が減る側の圏域だからといって、機能の届出が薄いわけではありません。

地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市町村ごとの将来

色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが鳩山町(-27.3%)、いちばん緑なのが滑川町(+26.1%)で、同じ川越比企医療圏の中に53.4ポイントの開きがあります。東秩父村は薬局が0軒のため1軒あたりの数値が計算できず、色がつきません。

人口動態 ── 需要の源川越比企医療圏は「人が減り、お年寄りはあまり増えない」

なぜ市町村で明暗が分かれるのか。もとをたどると人口の動きです。川越比企医療圏全体では、総人口は78.1万→69.0万人(-11.7%)と減り、65歳以上は24.5万→26.2万人(+6.9%)とわずかに増えるだけです。高齢化率は31.3%→38.0%へ。65歳以上のピークは2045年ですが、圏内14市町村のうち6市町村ではそのピークがすでに2025年——つまり、これから減っていく局面に入っています。65歳以上人口が2045年までに減る市町村は9あります。埼玉県全体の65歳以上人口が+15.6%増えるなかで、この圏域の中には-29.5%(東秩父村)から+34.8%(滑川町)までが同居しています。

総人口65歳以上
0万20万40万60万80万20252030203520402045205067万26万
実データ(社人研 将来推計人口・2023年推計)。総人口は2025年から2050年まで一貫して減り、65歳以上は2045年にピークを迎えます。

4年の推移この圏域で、4年間に閉じた薬局と、引き継がれた薬局

埼玉県は廃止名簿が2022年から連続してそろうため、暦年で4年ぶんを並べられます。川越比企医療圏の真の閉局は6件→4件→6件→6件、移転・承継は9件→5件→13件→7件でした。4年合計では真の閉局22件・移転承継34件で、薬局375軒に対する年平均の真の閉局率は1.47%になります。1年ぶんだけを見ると数件の差で印象が変わってしまう規模なので、単年の数字は幅をもって読んでください。

地域の差 ── 市町村差需要が減る市町・増える市町

鳩山町(-27.3%)から滑川町(+26.1%)まで53.4ポイントの開き。薬局のある13市町のうちマイナスは9で、圏内の多数派です。なお鳩山町・ときがわ町・川島町・吉見町・越生町・嵐山町は薬局が8軒に満たないため、1軒あたりの数値は振れやすい点にご注意ください。東秩父村は薬局が0軒のため空欄です。

鳩山町
-27.3%
小川町
-26.6%
ときがわ町
-21.0%
川島町
-18.0%
吉見町
-15.6%
越生町
-14.9%
──── ここから需要が増える地域────
鶴ヶ島市
+2.7%
川越市
+8.6%
滑川町
+26.1%
薬局0の自治体(東秩父村)はランキング対象外です

くわしい数字14市町村データ一覧

市区町村薬局高齢率
2025
1軒あたり処方せん
2025 → 2045
変化
川越市16128.8%12,945 → 14,062+8.6%
東松山市5430.4%10,445 → 10,314-1.3%
坂戸市5330.4%11,536 → 11,678+1.2%
鶴ヶ島市3130.7%13,934 → 14,313+2.7%
毛呂山町2534.9%9,646 → 8,644-10.4%
小川町2043.9%11,727 → 8,607-26.6%
滑川町824.4%12,412 → 15,655+26.1%
嵐山町635.1%20,451 → 18,789-8.1%
川島町539.5%29,243 → 23,984-18.0%
鳩山町349.2%42,090 → 30,581-27.3%
ときがわ町344.1%29,119 → 23,005-21.0%
吉見町338.3%43,829 → 36,986-15.6%
越生町339.8%27,802 → 23,666-14.9%
東秩父村051.5%薬局なし

※処方せん需要は川越比企医療圏全体の実績(NDB)を市町村の高齢人口で按分した推計です。薬局が8軒に満たない自治体では1軒あたりの値が大きく振れます。個店のランキングは作りません。

この地図の使い方(3段階のドリルダウン)

  • 埼玉県(ひとつ上・Lv1)=10の二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
  • 川越比企医療圏(このページ・Lv2)=14市町村で「同じ圏域の中の差」を見る。
  • 市町村(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。

川越比企医療圏 14市区町村すべての詳細レポート(薬局持久度レポート会員向け・有料)

医療圏の型 ── 競争で減るのか、需要で減るのかこの圏は都市型(競争淘汰)です

薬局が閉じていく筋道には、大きく2つあります。ひとつは近くに薬局が多く、競争のなかで数が絞られていく道(都市型)。もうひとつは周りに薬局が少ないまま、患者そのものが減っていく道(郊外型)。川越比企医療圏にいまある375軒それぞれについて、どちらの効き方が強いかを計算し、閉局の起こりやすさで重みづけて足し上げると、競争側の比率は0.61です(0.5以上なら都市型、それ未満なら郊外型)。この地域は都市型(競争淘汰)にあたります。需要の側は、この地域の総人口が2025→2045で-11.7%です。全国47都道府県・335の二次医療圏・65,634行(うち移転や承継を除いた本当の閉局3,952件)を学習した統計モデルによる分類です。特定の地方だけで学んだモデルを他の県に当てはめたものではありません。共通の係数は47都道府県すべての実データから学習しており、この地域の値は、この地域に実際にある薬局の実測値から計算しています。この分類は「どの筋道で薬局が減りやすい地域か」を示すもので、個々の薬局の見通しではありませんし、出店や撤退の判断もしません。

機能の届出 ── 厚生局の名簿で数える地域支援・医薬品供給対応体制加算の届出は88.2%です

薬局の機能は、これまで薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告で数えていましたが、ここからは地方厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」で数え直しています。川越比企医療圏でこの名簿に載っている保険薬局は374軒で、そのうち届出があるのは──地域支援・医薬品供給対応体制加算 330軒=88.2%、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)(推定) 247軒=66.0%、在宅薬学総合体制加算 162軒=43.3%、電子的調剤情報連携体制整備加算(推定) 327軒=87.4%です。名簿の版は令和8年7月1日版(東北厚生局=青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島の6県のみ令和8年6月1日版。7月分が未公開のため入手可能な最新を使用)。8つの厚生局・47都道府県をすべて同じ月の版でそろえてあるので、県どうしを並べて比べられます(GMISの自己申告は県によって取り込みの穴があり、これができませんでした)。推定を含む項目があります。「かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)」は令和8年度改定でかかりつけ薬剤師指導料・包括管理料は服薬管理指導料に統合され、単独の届出名称が無くなりました。新様式の名簿にある「服薬管理指導料の注1」を代理指標として数えた推定値です(告示・通知文の逐語確認はしていません)。「電子的調剤情報連携体制整備加算」は令和8年度改定で「医療DX推進体制整備加算」の後継と判断して数えた推定値です(同一制度の後継という対応関係は未確認)。このページがこれまで載せていた届出率は、改定前の版の名簿を店名で突き合わせて数えたものでした。並べると、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)は今回66.0%/これまで74.1%(差-8.1ポイント)、地域支援・医薬品供給対応体制加算は今回88.2%/これまで47.5%(差+40.7ポイント)、在宅薬学総合体制加算は今回43.3%/これまで52.8%(差-9.5ポイント)です。差の主な理由は3つで、(1)令和8年度改定で後発医薬品調剤体制加算が地域支援・医薬品供給対応体制加算に統合されたこと(地域支援の届出率が跳ね上がる)、(2)かかりつけ薬剤師指導料が服薬管理指導料に統合され、代理指標に切り替えたこと、(3)これまでが店名の突き合わせ、今回が医療機関コードでの集計であること。どちらかが誤りという意味ではありません。これから先は、47都道府県を同じ月の版でそろえた今回の数え方を主に使います。分母は名簿に載っている薬局の数で、このページの他の場所に出てくるGMIS由来の薬局数とは出典が違うため一致しません。また届出は「その体制をとると届け出た」という記録で、実際に提供された量ではありません。

このレポートの範囲と、正直な限界

  • 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市区町村)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
  • 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
  • 【処方せんの推計方法】川越比企医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間4,988,824枚)を、市町村ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市町村別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。
  • 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(埼玉県=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に106.9)。
  • 【薬局数は2025年で固定】市町村別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
  • 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
  • 【閉局の数え方と集計期間】関東信越厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています(川越比企医療圏で6件)。廃止届は全部で21件出ていますが、そのうち15件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだ=その場所から薬局が消えてはいない、と読めます(内訳は clo_gross / clo_relo として別に保持)。既定の集計期間は、もっとも新しい完全な12ヶ月(2025年5月〜2026年4月(12ヶ月))です。埼玉県は名簿が2022年から連続してそろうため、暦年2022〜2025の4年ぶんも clo_multiyear に持っています。
  • 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出上の市区町村コードで割り当てています。
  • 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づきます。この圏域は全375店に届出データがあり、分母は薬局数と一致します。届出=実際の提供実績ではありません。
  • 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。
  • 【小さすぎる分母】鳩山町・ときがわ町・川島町・吉見町・越生町・嵐山町は薬局数が8軒に満たない自治体です。1軒あたりの数値は1店の開廃で大きく振れるため、傾向としてのみお読みください。届出率も同様で、薬局3軒の町では1店が届け出るかどうかで33ポイント動きます。
  • 【薬局が0軒の自治体】東秩父村には薬局がありません(埼玉県で唯一)。1軒あたり処方せん・経営体力・届出率はいずれも計算できないため、表・地図では空欄になります。住民が薬局を使っていないという意味ではなく、隣接する自治体の薬局を利用していると考えられますが、本レポートはその越境利用を推計していません。
  • 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計と、医療圏の「都市型/郊外型」分類は掲載していません(Lv1と同じ理由・供給の統計モデルを再学習中のため)。

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川越比企医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)

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病院側

川越比企の病院に、薬剤師はいるか

ここまでは薬局の話です。同じ圏域の病院側を、公表データから測りました。 退院した患者を受けとめる側と、送り出す側は地続きです。

病院
49うち200床以上 15
薬剤管理指導料の届出
71.4%全国 65.8%
100床あたり常勤薬剤師
4.99全国 4.76人
病棟薬剤業務実施加算
32.7%全国 27.8%

入院した患者に薬剤師が関わる基本の体制が薬剤管理指導料です。この圏域は全国とほぼ同じ。 病棟に薬剤師を置く病棟薬剤業務実施加算まで届けている病院は32.7%(全国27.8%)です。都道府県と協力して自院の薬剤師を薬剤師不足地域の医療機関へ出向させている病院(薬剤業務向上加算)は、この圏域にはありません。全国でも68病院にとどまります。

通院で抗がん剤治療を行う体制(外来腫瘍化学療法診療料)を届け出ている病院は12件。 そのうち、治療計画を地域の薬局と共有して薬局側でも副作用を確認できるようにする体制 (連携充実加算)まで届け出ている病院は7件(58.3%)です(全国50.5%)。

届出=地方厚生局「届出受理医療機関名簿(医科)」令和8年8月1日現在(関東信越・東北は同7月1日現在)。 病院=病床20以上の医科医療機関。薬剤師数=厚生労働省「令和7年度 病床機能報告」施設票、 令和7年7月1日時点の常勤の実人数。この2つは基準日が1年ずれています。病床機能報告は一般病床または療養病床を持つ病院が対象で、精神病床だけの病院は載りません (この圏域では49件のうち35件が薬剤師数の分母)。 届出があること=算定していること、ではありません。 外来化学療法の内訳は、その届出が3件未満の圏域では伏せています(1〜2件で「連携0件」と書くと 特定の病院を指すことになるため)。個別の病院名は出していません。

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自治体・薬剤師会・研究者の方へ。この地域のより詳しい分析や、地域医療構想調整会議・研修でそのまま使える資料の作成を承ります(圏域ブリーフ ¥100,000〜)。個店のランキングや出店指南は行いません。

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